津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

老いの姿見

2008-04-07 17:16:22 | 歴史
 熊本藩実学党の首領とも云うべき横井小楠の遠祖は、北条氏だとされる。その家紋は丸に「三つ鱗紋」である。同様北条氏を遠祖とする同姓、横井孫右衛門なる尾張藩士がいた。1500石取りで「也有」と号した。元禄十五年生まれの大変な教養人であったという。その也有の狂歌を、江戸町奉行根岸肥前守鎮衛という人が、「老人への教訓の歌の事」として、其の著「耳袋」で紹介している。

 一 皺はよる ほくろはできる背はかがむ 頭ははげる毛は白うなる
 一 手は震う 足はよろつく歯はぬける 耳は聞えず目はうとくなる
 一 よだたらす 目しるは絶えず鼻たらす とりはずしては小便もする
 一 又しても 同じ噂に孫じまん 達者じまんに若きしゃれ言
 一 くどうなる 気短になる愚痴になる 思いつくこと皆古うなる
 一 身にそうは 頭巾襟巻杖めがね たんぽ温石しゅびん孫の手
 一 聞きたがる 死にともがなる淋しがる でしゃばりたがる世話やきたがる

なかなか辛らつで面白い。身につまされる事もある。お奉行様は「これを姿見として、己が老いたるほどをかえり見たしなみてよろし」と言う。ご尤も・・・
我が横井小楠先生も、このくらいの洒脱さがあれば・・・?
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