新聞の投稿でこんな素敵な話を聞いた。
69歳の女性で、
最近、働き盛りの息子さんを亡くした。
なんと、3人の幼い女の子を遺して、である。
ある書道展で、
良寛のこんな歌が書かれた掛け軸をみた。
「形見とて
何残すらむ
春は花
夏ほととぎす
秋はもみじ葉」
以来、その歌が頭から離れず、
後日、書道展に再びいくと、
出展者にお目にかかれた。
その方は良寛と同じく新潟出身だったそうで、
思わず息子のことを話してしまった。
ちなみに、3人の遺児(お孫さん)は
長女が2月、
次女が5月、
三女が11月生まれ
なのだそうです。
この話には後日談がある。
なんと、後日、
出展者から着物地を使ったその掛け軸が贈られてきた。
「お仏壇に供えてください」
それには、銀座の有名店のお線香を添えてあった、
というのである。
私は、悲しみにうち沈むなかにも
良寛の歌と出会い、
さらにその歌を色紙に書いて出展した方にもめぐりあい、
何という僥倖かと驚嘆し、
世の中は、まだまだ捨てたもんじゃないな、と思った。
そんな折、民家のお庭で見かけた紅梅と白梅に
思わず見入ってしまった。
立派なお寺にあるよりも風情が感じられた。