一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

何残すらむ

2018-02-12 18:09:00 | 雑記


       新聞の投稿でこんな素敵な話を聞いた。

       69歳の女性で、
       最近、働き盛りの息子さんを亡くした。
       なんと、3人の幼い女の子を遺して、である。

       ある書道展で、
       良寛のこんな歌が書かれた掛け軸をみた。

      
        「形見とて
          何残すらむ
           春は花
            夏ほととぎす
             秋はもみじ葉」

       
       以来、その歌が頭から離れず、
       後日、書道展に再びいくと、
       出展者にお目にかかれた。

       その方は良寛と同じく新潟出身だったそうで、
       思わず息子のことを話してしまった。

       ちなみに、3人の遺児(お孫さん)は
       長女が2月、
       次女が5月、
       三女が11月生まれ
       なのだそうです。

       この話には後日談がある。

       なんと、後日、
       出展者から着物地を使ったその掛け軸が贈られてきた。
       「お仏壇に供えてください」
       それには、銀座の有名店のお線香を添えてあった、
       というのである。

       私は、悲しみにうち沈むなかにも
       良寛の歌と出会い、
       さらにその歌を色紙に書いて出展した方にもめぐりあい、
       何という僥倖かと驚嘆し、
       世の中は、まだまだ捨てたもんじゃないな、と思った。       

       そんな折、民家のお庭で見かけた紅梅と白梅に
       思わず見入ってしまった。
       立派なお寺にあるよりも風情が感じられた。