一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

石牟礼道子さん逝く

2018-02-10 14:53:36 | 雑記


        今朝のNHKニュース速報で
        石牟礼道子さんが亡くなられたことを知った。

        90歳。
        03年にパーキンソン病を患い、
        その闘病の過程での死であった。

        石牟礼さんは1927年、熊本県天草生まれ。
        生後間もなく一家は水俣に移り、
        学校卒業後、代用教員を経て、
        谷川雁や上野英信、森崎和江らの「サークル村」に参加、
        詩歌中心に文学活動をはじめた。

        59年には、
        当時まだ「奇病」といわれた水俣病患者の姿に衝撃をうけ、
        「これを直視し、記録しなければならない」と決心。
        それから彼女の並々ならぬ苦闘がはじまる。

        69年、水俣病患者の姿を伝える『苦海浄土』を刊行。
        第一回大宅壮一ノンフィクション賞に選ばれたが、
        辞退した。

        まだ「公害」という言葉も聞かれなかった頃、
        同書は、日本の公害告発運動の先駆けとなったのだ。

        その後、
        『天の魚』を出し、  
        2004年の第二部「神々の村」で『苦海浄土』(全3部)
        が完結した。

        石牟礼さんが小さい頃、
        <しんけいどん>のおばあちゃんに可愛がられ、
        道を歩くときには石牟礼さんが手を引いて歩いたこと。
        なにかと気ちがい呼ばわりされて不当に扱われる
        祖母をかばうのは、子どもの石牟礼さんだった。
        (<しんけいどん>は気が狂った、という意味)

        水俣病に疑いをもちはじめる発端は、
        家々の猫が狂い死にしたことであった。

        その他、
        谷川雁との交流など、
        私も何回か、著書に引かせていただいた。

        そのたびに、
        石牟礼さんの、大企業や世間に屈しない告発者という立場、
        書く姿勢、勇気、信念、熱情に、
        尊敬の念をいだき、
        とてもとても、足元にも及ばないことに怖れおののいた。

        おそらく、
        これほどの記録者は二度と現れないであろう。
        その点で、日本は偉大なる作家を喪った。

        ご冥福を祈るばかりです。
 
        合掌