一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

蝉の声

2017-08-06 09:02:47 | 自然



        盛夏。

        蝉の鳴き声が暑さをいっそうあおる。

        主体はまだアブラゼミ、ミンミンゼミだが、
        ここ何年か、シュワシュワシュワといったクマゼミに
        似た蝉の鳴き声がさかんに聞こえるようになった。
 
        最初にクマゼミを聞いたのは熊本であったが、
        年々、北上しているのだろうか。


        夕刻、窓をあけて涼んでいると、
        遠くの森、近くの森からカナカナカナ……と
        ヒグラシの声が輪唱のように聞こえる。

        それはまるで、僧侶の読経のようだ。

        そういえば、お盆も近い。
        ヒグラシの鳴き声が読経のように聞こえるのは
        日頃、これといって先祖供養もしない私の心に
        いたく染みわたる。


        お寺さんから送られてきた四季の便りに
        こんなのがあった。

        「蟪〇(けいこ)春秋を識らず」

        蟪〇(けいこ)とは蝉のこと。
        「けいこ」の「こ」は虫へんに「古」と書くのだが、
        漢字では出ない。

        つまり、
        「蝉は春秋を知らない」ということ。

        たしかに夏に生まれ夏に死んでいく蝉は他の季節
        (春、秋、冬)を知りません。
        それどころか、生きている今が夏だと云うことも
        知りようがないのです。
        今が夏だと分かるのは、他の季節を知って初めて
        分かること。

        ならば人間はーー

        仏教では、
        私たち人間は「迷いの世界」にいると教えています。

        そして、今いる私たちは、この迷いが永遠に続いて
        終わらないような気がします。

        これは夏だけしか知らない蝉と同じではないでしょうか。

        この迷いを抜けるとき、
        それこそ「悟りの世界」らしいのです。

        私のような凡俗にはそれは生涯、訪れてこないような
        気がしますが……。

        (これは多少曲解したもので、私の勝手な解釈です)

        
         ※ 近くの公園には蝉の抜け殻がいっぱい