一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

吉本隆明追悼号

2012-05-27 19:08:51 | 読書


      吉本隆明が3月に他界して2カ月半。その人と仕事
      をしのぶ動きが絶えないようだ。
      そんななか、沖縄在住の比嘉加津夫が自らの雑誌
      「Myaku」で追悼号を出し、日経新聞の「文化欄」
      でも取りあげられた。(2012・5・12)

      吉本のことをほとんど知らない私も、谷川雁のつな  
      がりで短文を書かせていただいたのだが、
      他にもたくさんの方が彼をしのぶ辞を述べていて、
      あらためて吉本隆明とは何だったろうと思う。

      比嘉のことばを借りれば、
      「流れに沿うのではなく、流れに疑問をもち、
       ひとりで立っていくという姿勢」
      なのだという。
      そして氏は吉本にも死がやってきたことに対して、
      「だから、さらに輝きを増していくのだ」といって
      次の詩をあげている。

       ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる
       ぼくの肉体はほとんど過酷に耐えられる
       ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる
       もたれあうことをきらった反抗がたふれる
       ぼくがたふれたら同胞はぼくの屍体を
       湿った忍従の穴へ埋めるにきまっている
       ぼくがたふれたら収奪者は勢いをもりかえす
       だから ちいさなやさしい群よ
       みんなひとつひとつの貌よ
       さやうなら
               (「ちいさな群への挨拶」)

      吉本隆明入門編の私にも、この詩は分かりやすく、
      さいごの3行がすーっと入ってくる。