一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

新制作展 4

2009-10-17 14:53:54 | 芸術
    「海と少女」 佐藤泰生 作

    これをみた時、かつて子供の言語教育活動を
    していた頃に出会った、
    「うみがたずねてきた」 らくだ・こぶに 作
             (谷川雁さんの筆名)
    を思い出してしまった。

    日曜日、ヒトデが次から次へと魚やイソギンチャク
    など海の仲間を連れて遊びにくるという、詩情ゆた
    かな作品である。
    ……思い出しただけでも磯の香りがしてきそうな
    お話でもある。

    やがて夕刻になって友だちは帰ってゆく。
    賑やかに楽しく遊んだ後にくる寂しさ、ぽっかり
    穴のあいたような虚しさ……。
    これもまた一度ならず二度三度と、子供の頃に経験
    したことでもある。

    そして出会いの後には別れが、楽しさの後には必ず
    一種の虚脱感に襲われることが分かって、大人に
    なるのだ。
    つまり、大人になるということは、何事にもそう
    期待感を持たない、セーヴする自働制御装置なる
    ものを身につけることらしい。
    それは一定の枠を越えられない、限度ということを
    知ることでもある。

    かくしてつまらない人間になるのか、と思うと
    これまた寂しいことに思ってしまう。