一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

天守と桜 その4

2009-04-14 20:59:14 | 歴史
     前回の玉縄城址のブログを見た友人から玉縄桜の
     写真が送られてきた。

     こんな名前の桜があることは初耳で、地元の植物園
     で染井吉野の実生(みしょう)から育成されたもの
     だという。
     3年後の2012年には玉縄城築城500年になる
     ので、「玉縄桜をひろめる会」が育成に力を入れて
     いるのだとか。

     これを聞いて10数年前にみた映画を思い出した。
     桜に魅せられ、全人生を賭けて桜を植え続ける
     男の話であった。
     男の名前は佐藤良二。
     名古屋から金沢まで全長260キロを走る国鉄バス
     の運転手で、夢はバスが走る道路沿いに桜を植え
     つづけることであった。
     家族や周囲の人に反対され、給料をつぎこみ、
     しかし、ついに良二は志半ばにして病に倒れる。

     彼がこれほどまでに桜に執着するのは、ダムに
     沈んだ村落のことが頭にあったからだ。
     そのダムは昭和35年に完成した東洋一の
     御母衣ダム。
     360の集落を犠牲にしたというダムである。
     樹齢400年という桜の大樹をダム底に沈ませ
     るのは忍びないという人々の願いで移植工事が
     はじまった。
     移植は困難をきわめたが、見事成功し、桜が満開
     になった3年後の春ーー
     バラバラになった人々が集まり、つぎつぎと桜の
     幹をなでて涙を流す。
  
     映画の題名は忘れたのに、なぜか主人公の名前と
     ストーリーを鮮明に覚えている。     
     このように桜には大なり小なりドラマがつきまとう。