蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ダークナイト

2010年02月11日 | 映画の感想
ダークナイト

DVDを見たのはもう1年ほど前だが、感想を書いてなかったのに気づいたので、今さらではあるが残しておくことにした。

ガンダムが時代を超えて広く多くの人に受け入れられているのは、製作関係者や周辺のおもちゃメーカー、そしてファン自身が、その世界観とか設定にリアリティを持たそうと、一生懸命につじつま合わせをしているからだと思う。

巨大ロボットの有視界での対決に現実性を持たせるために、探知機を無効にするミノフスキー粒子というものを設定したのが、その最たるもの。
そのミノフスキー粒子で高層ビルをいくつも束ねたようなホワイトベースまで地球上で浮かせてしまうのはやりすぎだと思うが。

ニュータイプという能力について、極力、超能力とかエスパーといった説明を避けようとしていることなど、ちょっと微笑ましいほどの頑張りだと思う。

「ダークナイト」も、一見、トンデモ系の設定をなんとか納得させよう(少なくともバットマン世界においてはリアリティを持たそう)と、作品の中で懸命に説明努力をしていて、それが2時間程度といった短い時間の中でかなり成功していることが、高い評価につながっていると思う。
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f植物園の巣穴 

2010年02月09日 | 本の感想
f植物園の巣穴 (梨木香歩 朝日新出版)

表紙のデザインから「家守綺譚」のような内容を期待して読んでみた。

確かに「家守綺譚」のような幻想的な雰囲気の話なのだが、全編ほぼ夢の中という感じで現実とのつながりがあまりに薄くて、ちょっと期待とは違ったものだった。

もっともオチの部分で夢と現実をつなぐ種明かしがされるが、これもありがちな感じがしてしまい、むしろ、最後まで夢物語の方がよかったかも、という気がした。

ただし、筆者が描く「昔の日本の風景、風俗」は、本書でもとても見事で、年をとったせいか懐古趣味的な嗜好が出てきた私には、とても鮮やかな印象があった。
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ジェネラル・ルージュの凱旋(小説)

2010年02月07日 | 本の感想
ジェネラル・ルージュの凱旋(小説)(海堂尊 宝島社文庫)

映画を見てから読んだ。

映画とちがって殺人事件は起こらず、贈収賄もほとんど事件の態を為していない。
医学(というか病院)小説といった内容。
テーマは、「医は算術じゃない」ということだろうか。

現実の世界ではありえない大仰なセリフは、「チームバチスタの栄光」の時よりも鼻につく感じ。
テーマの訴求力も映画の方がはるかに強かった。

というわけで、かろうじてミステリとしての結構を保っていた「チームバチスタの栄光」(小説)と比べても、堺雅人の熱演が見られた映画と比べても、イマイチだったかなあ、という感じ。
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分類思考の世界

2010年02月06日 | 本の感想
分類思考の世界(三中信宏 講談社現代新書)

ある新聞の書評欄で絶賛されていたので読んでみた。

しかし、なかなか読み進めなった。難解というよりは散漫というか中途半端で、初心者にやさしく、というより、マニアに面白話を、みたいな内容に思えた。

生物を分類するというのは、人間がそれぞれに勝手な基準(外見が似ているとか)で分類しているだけで、数学的、物理的な基準が存在しているわけではない。
しかし、人間は(生物に限らず)グループ分けして個々のモノを関係づけたがる本性みたいなものがあるみたいで、分類せずにはいられない。しかし、すべての人を納得させる客観的基準がないからその矛盾に苦しむことになる。
ひとつの解決法として「本質主義」というものがあるという。あるものを定義する本質がある、とする考え方で、例えば、人の性格は血液型という「本質」によって決まる、とするようなものがそれにあたる。

筆者は、「本質主義」を批判しているのだと思う(分類される物にばかり注目せず、分類する方のバイアスを研究すべき、という梗概が裏表紙にある)が、そうでないような記述もあって、よくわからなかった。
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象の背中

2010年02月04日 | 映画の感想
象の背中

役所広司さん主演というので随分前に録画して、そのあと忘れていたのだが、正月に見てみた。

主人公(役所)は、マンションデベロッパーの開発部長。念願の大型プロジェクトの着工が近づいている。
美しく家事堪能な妻、父親に従順な息子と娘、邸宅風の広い自宅に加え、結婚を迫ったりしない物分りのいい愛人までいる。

で、この主人公が末期ガンに冒されたのをきっかけに、昔の友人や迷惑をかけた人を訪ね歩くという話。

入院した病室は一流ホテルのスイート並で一泊10万円くらいしそう。
愛人が病室に尋ねてきても奥さんは怒ったりせず静かに席をはずしたりする。

ありえね~というストーリーなんだけど、この映画は、死を間近にした人にとっての実現不可能な「夢」を夢物語として描いたものなのだろう。
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