蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

f植物園の巣穴 

2010年02月09日 | 本の感想
f植物園の巣穴 (梨木香歩 朝日新出版)

表紙のデザインから「家守綺譚」のような内容を期待して読んでみた。

確かに「家守綺譚」のような幻想的な雰囲気の話なのだが、全編ほぼ夢の中という感じで現実とのつながりがあまりに薄くて、ちょっと期待とは違ったものだった。

もっともオチの部分で夢と現実をつなぐ種明かしがされるが、これもありがちな感じがしてしまい、むしろ、最後まで夢物語の方がよかったかも、という気がした。

ただし、筆者が描く「昔の日本の風景、風俗」は、本書でもとても見事で、年をとったせいか懐古趣味的な嗜好が出てきた私には、とても鮮やかな印象があった。

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