蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

遊動亭円木

2007年10月08日 | 本の感想
遊動亭円木(辻原登 文藝春秋)

盲人の落語家円木は、妹夫婦が経営するアパートに住む。体を悪くして以来、高座にはあがらずもっぱらひいきの旦那のサポートで生きている。客観的に見るとなんとも惨めな境遇なのだが、二枚目の容貌のせいか穏やかな性格のせいか豊かで潤いのある生活を送る、というメルヘンチックな話。

現実離れした話なのに妙にリアリティもあって、どこまでが現実でどこまでが夢の世界なのか境目がだんだんがわからなくなる。辻原さんの他の著書にも見られる特長だと思う。

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