蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

フェアウエル さらば哀しみのスパイ

2011年05月30日 | 映画の感想
フェアウエル さらば哀しみのスパイ

冷戦末期にソ連の体制を悲観したKGB大佐が、体制の転覆を図ってアメリカ側に潜り込んだソ連のスパイ名をふくむ超機密情報をフランス政府に提供しはじめる。
あまりの重要情報が漏れてきたことにとまどっていたフランス・アメリカ政府も情報の正確性が判明するにつれ情報受領の体制を整えようとするが、大佐は窓口としてこれまで通り半ば素人のフランス人サラリーマン(モスクワ在住)を使うことに固執する。二人の間には友情に似たものが芽生えていたからだ。しかし、それがやがて彼らを追い詰めていくことになる・・・という話。

KGB大佐を演じたのは有名な映画監督とのことだけれど、もともとかなり迫力あるご面相のうえに表情の表現力もすごくて一人舞台?という感じ。

KGB高官という地位にあるためなのだろうけど、大佐の生活もモスクワの街並みもスクリーン上ではとても素敵に見えて、「わが身を捨てても、祖国のため、息子の未来のため、体制転覆を図らなくてはならない」という切迫感はあまり感じられなかった。

フランス映画(ですよね)だけに、フランスびいき、アメリカ嫌いが明白。特にレーガン大統領の描き方が悪意に満ちてる感じ。反対にミッテランには智謀や思慮深さが感じられ、フランス人エージェントはとにかく善人で強運の持ち主(この人が実に際どく、ソ連から脱出するシーンがクライマックス)である。

いろいろ難癖付けたものの、アクションやサスペンスに過度に依存しない良質のスパイ映画だと思う。

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