蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

犯人に告ぐ

2005年08月19日 | 本の感想
雫井脩介さんが書いた「犯人に告ぐ」を読みおわりました。

私は、好物はとっておいて最後に食べる性格のせいか、たまっている未読本のうち、面白そうなのは、後回しにしてしまうことが多いです。
この本も昨年買ったものを今年8月になってやっと読み始めました。それだけ寝かせておいただけはあった、充実した内容でした。

難行する連続児童殺人事件捜査のために、刑事自身がテレビのニュースショーに出演して犯人を挑発あるいは懐柔して、犯人からの反応を引き出して手がかりを得ようとする話です。犯人の描写あるいは犯人側からの視点が全くなく、刑事側のみの視点で構築されているのが特徴です。
それが不満という見方もあるとは思いますが、中途半端になったり、念入りに犯人側も描きこんで間延びするよりも、この方がよかったと私は思いました。

主筋の事件の前に、かつて主人公が左遷された原因となった誘拐事件のエピソードがあって、最後にこの事件の解決も行われるのですが、とってつけたような感じがしました。
2つの事件がどう絡むのだろうか、と期待したのですが、ほとんど関係がありませんでした。この部分に一工夫欲しかったと思います。

余談ですが、この本を買ったきっかけは、オビの惹句にありました。
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」というそれが、キャッチコピーとして優れているのと同時に、本書の内容を見事に凝縮していました。
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