蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2012年09月16日 | 映画の感想
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

9.11で父親を失った少年の回復の物語。

父親は「ブラックさん」あてのメッセージと鍵を残していた。それが意味するものを解こうと、主人公の少年はニューヨーク中の「ブラックさん」を探し始める。
少年は病的に過敏で、9.11以来、テロを恐れて電車に乗ることもできない。しかし、「ブラックさん」を探索する過程で多くの人と接触していくことで彼の精神状態は改善されていく・・・という話。

ミステリ的味付けをねらっているのか、過去と現在を行ったり来たりする凝った物語構成になっているけど、「たいしたオチもない話を大袈裟にしているだけ」と思えなくもなかった。

当たり前のことだが、9.11は、アメリカとりわけニューヨークに住む人々にとって歴史や人生の屈折点になっていることを表現することには、成功していると思う。

主筋とは関係がない場面だが、ワールドトレードセンタービルに取り残された父親から母親のオフィスへ電話がはいり、母親のオフィスから煙を噴き上げるビルを見ながら話す場面が(日常の中に異形の破滅が侵入してきた、といいう感覚がうまく表現されていて)妙に印象に残った。


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