蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

(日本人)

2012年09月16日 | 本の感想
(日本人)(橘玲 幻冬舎)

日本人特有のキャラは、東洋人のキャラに西洋風なモノの見方の味付けがされたものにすぎない、日本人の本性はそういう見せかけのキャラとはかけななれた世俗性にある、というのが、本書の主題(だと思ったが、違うかも)。

多くの部分が他の本からの(直接・間接の)引用なんだけど、紹介の仕方や語り口がクールで、楽しく読めた。

以下は備忘(章末のまとめのまとめ)

・「政治空間」(人間関係の共同体)と「貨幣空間」(カネのやりとりで繋がる市場)。グローバリズムは政治空間への貨幣空間の侵食。

・「日本人」のイメージは明治以降、西洋と接触によって形成された。

・脳は、因果律は処理できるけど確率的事象の処理は苦手

・進化心理学→感情はより多くの子孫を残せるように進化してきた。神の出現もその余波。それがやがて共有される幻想に。

・“俺たち”と“奴ら”の集団化と殺しあいは生得のもの

・農耕文化のエートス(行動文法)→閉鎖性、妥協、身分制、非歴史性。東洋人は集団や人間関係を重視し、西洋人は個や論理を重視する。

・日本人の世俗性(伝統性の反対。合理性、自己主張的)は一般的イメージと違って非常に高い(これは非常に(生存を脅かされない)快適な社会に住んでいることが原因のような気もするが)。

・世間体(空気)を気にしているが、そればかりではない。

・グローバリズム(自由貿易)はユートピア思想。グローバル化の特徴は退出可能性の確保(アメリカは社会そのものがグローバル。グローバルな正義とは法の支配)

・誰も責任をとらない会社は呪術的な無限責任の世界。(近代化されていない。契約社会になっていない)

・日本は省庁連邦社会。1940年体制(国家社会主義的統制経済)。改革を拒絶する守旧派は企業経営者と労働組合

・大停滞=容易に収穫できた果実を食べつくした


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