蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ロストケア

2023年12月01日 | 映画の感想
ロストケア

親切で熱心な介護士の斯波(松山ケンイチ)は、介護対象だった老人を殺害した容疑で逮捕され、検事の大友(長澤まさみ)に尋問される。大友と事務官の椎名(鈴鹿央士)の調査で、斯波が勤める介護所で、自然死したと思われた老人たちも斯波に殺害された疑いが浮上する・・・という話。

半分までいかないうちに斯波が42人(自分の父親を含む)を殺害したことを認めてしまうので、このあとドンデン返しがあるぞ・・・と思っていたが、そうではなくて、ストーリーとしてはひねりがない一本道。

しかし、意外にも(といっては失礼だが)、ありがちな展開そのものの後半はけっこう感動的だった。主役の二人も上手だったが、なんといっても斯波の父親役の柄本明の演技が凄い。鬼気迫るというか、本物の認知症患者にしかみえないのだった。しばし正気を取り戻した間に父が斯波に語りかけるシーンが特に印象に残った。

冒頭にある、大友が孤独死の検視現場を訪れるシーンの本当の意味が最後に明かされる筋書きもよかった。
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