蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

空白(映画)

2022年04月10日 | 映画の感想
空白(映画)

漁師の添田充(古田新太)の娘の花音は、目立たず要領が悪くて学校で孤立していた。母(田畑智子)は離婚していて、父に相談しようにも取り付くシマがない。
花音は、近所のスーパーで化粧品を万引きしようとしているところを店長の青柳(松坂桃李)に咎められ、逃げ出したところを車にはねられて死亡する。
添田は事件の真相を明らかにしようと青柳に詰め寄るが・・・という話。

同じ監督の「犬猿」の時と同様、キャストが役にハマりすぎている。
モンスター的に(というほど偏執狂的なものでもなかったが)言いがかりをつける添田→古田
気弱そうで無抵抗ながら何か隠している雰囲気の若い店長→松坂
みたいな感じで。

もう少し、らしくない人をキャスティングした方が面白いと思うんだけど。

スーパーはワイドショーなどで盛んに批判され閉店を余儀なくされる、突然飛び出してきた花音をはねた女性は自殺する、花音は万引きの常習犯だったらしいことを添田は(遺品から)知る、
なのに、添田だけハッピーエンド的なラストになっているのも、見ている方としては面白くなかった。

添田の助手役の人(藤原季節)がよかった。
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旗指足軽仁義

2022年04月10日 | 本の感想
旗指足軽仁義(井原忠政 双葉文庫)

三河雑兵心得シリーズ2巻目。前作から約5年後、本多平八郎の旗指(大将の旗印を持ち歩く足軽。敵に狙われやすく危険)となった茂兵衛の活躍を姉川合戦を中心に描く。

茂兵衛が捕らえた敵方の美女をそのまま逃してしまうとか、兜首を取らないという点は、ちょっと現実?離れしていると思ったが、あとは前作同様、合戦のディティールに拘った描写にリアリティが感じられた。

平八郎は長年最前線で戦いながら、致命傷どころか、ほとんど傷つくことがなかった、というのは有名(本作でもそういう設定になっている)。
これは作り話っぽいが、彼が単騎あるいは少数の配下とともに戦局を転換させたという伝説は数多く、本当にヒキの強い人だったのだろうと思わせる。
姉川における局面打開は、そのうちの一つで本書でもクライマックスとなっている。

前作に続いて、主人公の茂兵衛のキャラがどうにも薄くて、むしろ平八郎の方が主役っぽい。このあとのシリーズのタイトルをみても、茂兵衛は平八郎の配下であり続けるっぽいので、もしかして、茂兵衛の視点から平八郎を描く狙いだったりして。
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