蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

村上T

2020年07月05日 | 本の感想
村上T(村上春樹 マガジンハウス)

本書によると村上さんには収集癖があるそうだ。レコードのコレクションは有名だが、ちびた鉛筆や本、雑誌の切り抜きなんかもそうとうな量があるらしい。そしてTシャツも段ボール何箱にものぼる量を集めているそうだ。本書はそうしたコレクションの一端を写真とそのTシャツにまつわるエッセイで構成されている。

お金はとても使いきれないくらいほどあると思うのだが、おカネにものをいわせてコレクションする、というのは主義にあわないらしく、レコードは1枚5000円まで、Tシャツは3ドルまで、というのが一応の上限目安らしい。
「え、ずいぶん上限低すぎじゃね?ホントかな?」などと思ってしまった。特に3ドル以下のTシャツなんてそんなにあるものじゃないと思うが、コレクションの大半は古着屋で買ったものだそうだ。
一番思い出に残っているのは、ハワイで買ったトニー滝谷というロゴがはいったTシャツで、このTシャツからインスピレーションを得て小説を1つ書き、それが映画にまでなったそうで、著者いわく
「たった1ドルですよ!僕が人生においておこなったあらゆる投資の中で、それは間違いなく最良のものだったと言えるだろう」
うーん、冗談なのか、韜晦なのか。世界的ベストセラー作家らしくもない金銭感覚だ。

ところで、本書で私が一番いいな、と思ったTシャツは、ハインツのマークに「ケチャップにケチャップをかける」(くらいケチャップが好き)というロゴがデザインされたもので、アメリカ人はそれくらいケチャプ好きが多い、ということらしい。
コメント
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