蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

折れた竜骨

2016年08月19日 | 本の感想
折れた竜骨(米澤穂信 東京創元社)

12世紀終わりのイギリス、北海に浮かぶ小島:ソロン島の領主は、ヴァイキングの部族「呪われたデーン人」の襲撃に備えて傭兵を募っていた。
その領主は何者かに殺されてしまう。
「暗殺騎士」撲滅を目的として各地を巡る騎士ファルクとその弟子:二コラ、領主の娘:アミーナは領主を殺した犯人を捜す。しかし、その前に「呪われたデーン人」たちが島を襲う・・・という話。

魔術が現実であるという特殊な設定にのっとって「領主を殺したのは誰か」を、論理的に推理するミステリ。
そのミステリ部分は確かにロジカルで、最後のドンデン返しもふくめて納得性は高かった。

しかし、小説としては「呪われたデーン人」(首が体か断ち切られるまで何をされても死なない)たちと領主が集めた特殊な能力(青銅の巨人をリモートで操るとか)を持った傭兵たちと戦うシーンの方が面白かった。

続編が期待できるような終わり方なので、今度はジョン王時代のロンドンあたりを舞台にして、獅子心王が魔術で甦って・・・みたいな話だととても面白そうなんだが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする