蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

シン・ゴジラ

2016年08月11日 | 映画の感想
シン・ゴジラ

ロマンスはなく、家族愛もなく、友情もなく、格闘もない、モンスターに人々が追いつめられるようなサスペンスやパニックシーンもない。
極めてスローモーな動き(エネルギー補給のため、ゴジラが街中で数日間動かなくなってしまう!ほど)をする巨大怪獣が、無目的にひたすら東京の建物をぶっ壊し、通常兵器は全く無力、そして、主人公たちが考え出した怪しげな秘密兵器だけが怪獣を沈黙させる唯一の方法となる・・・

そんな映画はつまらない?
いいえ、子供のころから無数の怪獣映画やTV番組を見てきた私のようなものには(怪獣映画として)恐ろしいほどの傑作に見えました。

ゴジラの初登場シーンは、まずはその容姿が意外感バツグンのツカミで、運河に浮かぶ小舟艇を押し流すように上陸するシーンが印象的でした。

高機動する10式戦車は本物のように見え、司令部の描写もリアリティを感じられました(偶然なんですが、防衛相が女性で、かつ、戦力としての自衛隊を使いたくてしょうがなさそうなのが、現実世界とシンクロしているようで、ちょっと笑えました)

クライマックスは、東京のど真ん中で米軍の攻撃を受けたゴジラが怒り狂って?進化し?口からエネルギー波を吐き、背びれ?からビームを乱射するシーンで、いやー迫力満点でした。

ゴジラの撃退シーンは、ビーム乱射シーンほどの迫力はないのですが、なつかし?の電車爆弾(わざわざ「無人」というテロップが挿入されるところが、CMの「個人の感想です」的な風情?が感じられて笑えました)やビル崩壊のシーンは秀逸な出来でした。

実際には、ゴジラが出演?している場面より、主人公たちがゴジラ撃退法を検討したりするシーンの方がはるかに長いのですが、えーと、まあ、そちらはカレーライスについている福神漬みたいなものでして、誰それの演技が不自然、英語がヘンなんてことを言ったり、ゴジラは何を象徴しているのか?なんてことを考えるのは野暮というものだと思います。
やたらと台詞が長くて早口でテロップを多用するのは総監督の趣味らしいのですが、終始その方針?が徹底されているので、それすらも好感できました。

人によっては「見るんじゃなかった」となりかねない作品ですが、さすが本家本元の東宝、日本的怪獣映画の極北といえる仕上がりだと私は思います。
(なお、本作が売れたとしても続編を作るのはやめていただきたいです。どうしてもやるなら(ゴジラが出てこない)決定版モスラがいいな)
コメント
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