蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

オタクの息子に悩んでます

2013年02月09日 | 本の感想
オタクの息子に悩んでます(岡田斗司夫 幻冬舎新書)

朝日新聞の土曜の付録(Be)はコラムが充実していてよく読む。中でも人生相談の「悩みのるつぼ」は執筆者が異色で面白い。
岡田さんの回答はツボをついたシャープな回答が多いが、特に感心したのは、ぐうたらな父親について娘からの相談に答えたもので、
回答のはじめに

「「お父さんみたいにならないで」。母はいつも言う。不思議です。あなたは女、父にはなれません。なるとすれば母親でしょう。「お母さんのようになっちゃダメよ」。こういうべきです。なぜ母は「私のような母親になるな」と言えないのか?ここがポイントです。「私のような母親」とはどんな母親でしょう。答えは簡単ですね。自分に無関心・無頓着な夫と結婚し、離婚もできず、思いつく限りの愚痴を幼い頃から言い聞かせ、やがて娘が「父など死ねばいい」と思い込み休日に泣いて過ごすように仕向ける母。それが「私のような母」です。」

とあった。これはすごいな、と思った。

この本は、「悩みのるつぼ」の回答を作るプロセスを紹介して、思考方法を教える内容だが、冒頭で上記の相談が引用されていて、この回が特に好評だったとのことだった。やはり、多くの読者が、この回答はすごい、と思ったのだろう。

ユニークな視点、理路整然、相談者自身が気づいていないポイントまで踏み込む深い理解、などが、すごい、と思わせる理由だと思うが、プロセスの解説も非常に丁寧で、自分自身の悩みをこの本の方法で解決できそうな気さえしてくる。

例えば、
悩みとは複数の問題がこんがらがった状態であるとして、次の3つに分類せよ、とする。
1. 今すぐ「私が」手を打たなければならない問題
2. 年内に「私か誰かが」手を打たなければならない問題
3. 「人類が」いずれ解決せねばならない問題
そして、2,3はうっちゃっておいて1に着手せよ、とする。
そういわれてみると、解決不能な3に類することで、悩んでいることが多い気がしてきた。例えば、「夫(妻・娘・息子・姑etc)と仲良くしたい」「いじめ(体罰)をなくしたい」なんてのは人類が長年解決できない問題なんだから、悩んでもせんないことなんだよな。。。

また、そもそも悩みを「解決」することは困難で、すこしでもいいから、悩みを減らす、気を楽にする方向を見つけるのが大切とする。「幸福に生きるのに必要なのは真実ではなく、「信じたいウソ」です。信じたいウソ、つまり「夢や希望」が見られなくなったとき、僕たちは生きる気力なでなくしてしまうんですよね」

そのほかに「メーター」の考え方(できるだけ悩みを定量化・相対化しみる)も面白い。

講演録をまとめた部分などもあって、内容に重複が多いのがタマに傷かもしれない。
コメント
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