蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ウォール・ストリート

2011年10月11日 | 映画の感想
ウォール・ストリート

前作「ウォール街」が公開されたのは日本のバブル真っ盛りで、映画の内容と日米の証券界の状況がぴったりフィットしてとても面白かった。
チャーリー・シーンが演じるさえない証券マンは身につまされる感じがして、その彼が一発逆転を狙って超大物のゲッコーになんとか取り入ろうとする気持ちもよくわかった。
前作は、おそらくミルケン事件をモデルにしていたと思われるが、コンパクトにストーリーを再構成して素人にもわかりやすくなっていたと思う。

一方、本作はリーマンショックに揺れる証券界を描いているが、主人公に前作のようなギラギラした切迫感がなくて、「オレ、失敗しても平気だし」みたいな感じだった。
業界を取り巻く環境は前作時代よりむしろ厳しくなっていると思うのだけれど、オリバーストーン的な、「世間への告発」っぽいインパクトはあまりなかった。

ゲッコーの方は、あいかわらず(マイケル・ダグラスは外見もあまりかわらないように見える)ワルで、そのわりには手口がセコイことも前作同様。
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「とうさんは大丈夫」

2011年10月11日 | 本の感想
「とうさんは大丈夫」(佐川光晴 講談社)

主人公は児童福祉司で、意欲的に業務に取り組んでいた。

担当の母子家庭では子供の虐待が疑われ、近所の主婦が一時的に子供を預かっていたが、母親がその主婦から子供を取り返そうとして重傷を負わせてしまい、その夫からは殴られ、世間の指弾を浴びてうつ病になってしまう。

タイトルとはうらはらに、お父さんはぜんぜん大丈夫じゃない、という場面が続き、(うつ病というより)統合失調症的な症状が現れて、やたらと妄想にかられるが、その妄想が児童福祉現場の矛盾やスキャンダラスな裏面を暴くような内容で、こうしたことを告発するのが、本書の目的なのだろうか、とも思えた。
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