蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

銀河不動産の超越

2009年01月25日 | 本の感想
銀河不動産の超越(森博嗣 文藝春秋)

大学を卒業しても就職先がなかった主人公は、しかたなく街角の小さな不動産屋に就職する。
お金持ちの婦人に紹介したヘンテコなデザインの一軒家を、婦人は主人公に格安で貸してくれるという。その家にはいつしかヘンテコな人達が集うようになり・・・という話。

ミステリではなく、特に事件らしい事件も起こらず、ヤマなし、オチなし、意味もなしという小説。
でも、読んでいて妙に心地よさがあった。ありふれた言い方だけど、脱力系というか、癒し系というか。特に小説家と彫刻家の女性二人の件の家に同居する「銀河不動産の煩悩」がよかった。

主人公は、努力して人生を切り開こうとかいう気持ちは全くなく、できるだけ楽にボンヤリとした生活を送りたいと考えているが、就職先の上司(社長や事務の女の人)はやさしく、お金持ちに気に入られて、美人で世話好きの女の子が結婚してほしいと言い寄ってくる。
つまり、苦労はしたくないけど快適な環境がほしいという私のようなズボラななまけ者にとっては理想の物語だから、そう感じるのだろう。現実世界ではそんなことが起きることはありえないのだが。
コメント
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