蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

名文を書かない文章講座

2009年01月05日 | 本の感想
名文を書かない文章講座(村田喜代子 朝日文庫)

村田喜代子さんというと、文学賞総なめで(実は作品を読んだことがないのだが、タイトルだけから推測すると)虚構性の強い難解そうな作品を書く人、という印象があった。

ところが文庫のオビには「文章を書くのはむずかしい?いいえ、まず話すように書きなさい」とある。私の先入観とは正反対のキャッチコピーだったので興味を引かれて呼んで見た。

本書を読むと、発想とか文章術は正統派という感じで、小難しさとか気取りみたいなものは感じられず、私の先入観は確かに誤っていたように思った。

また、確かに「話すように書きなさい」という内容もあるにはあるのだが、そのあとすぐに推敲の大切さが説かれ、例文(本書はカルチャーセンターの講義をもとにしたもので、生徒のものと思われる例文がいくつか引かれている)に対してちょっと厳しく小うるさい国語教師のような辛辣なコメントがついていて、「話すように書いたら、村田先生に怒られそう」なんて思ってしまった。
コメント
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