蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ハゲタカの饗宴

2007年11月20日 | 本の感想
ハゲタカの饗宴(ピーター・タスカ 講談社インターナショナル)

危機に瀕した日本の銀行を「ハゲタカファンド」が買収する。銀行の建て直しのためファンドから送りこまれた金融マンが主人公。買収前に自殺した銀行の頭取の愛人から自殺の背景の調査を依頼された女探偵と主人公が、銀行経営の破綻と買収の裏側に隠された秘密をさぐるというストーリー。

「フィクションは現実をなぞる。その逆ではない」
冒頭のまえがきはこう始まる。これはつまり、この本の内容が現実に近いものであるといいたいのだろう。
著者自身が金融機関に長年勤務したアナリストであり、ファンドマネジャーであったので、ある程度の信憑性はあるのかもしれない。

しかし、ストーリーの大部分は真に迫ったものになっているようには思えなかったし、最後に明かされる銀行の秘密も、あっと驚くというほどではなくて「まあ、そんなこともあるだろ」ぐらいの感じだった。

主人公が、仕事上では敵である探偵に惚れこんで、あっさり銀行やファンドを裏切るという展開が安易な感じがしたし、銀行の秘密は探偵の部下が一晩PCと向かいあっていただけで判明してしまうというのも拍子抜けだった。
出版当時、玄人筋からは大変評判が良かったそうなので、金融界のウラ事情に通じた人が読めばちゃんと面白いのかもしれないが・・・
コメント
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