蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

2006年12月05日 | 本の感想
裁判長!ここは懲役4年でどうすか(北尾トロ 文春文庫)

雑誌連載のネタとして裁判傍聴にでかけた著者が、やがてその面白さに気づき、数々の裁判を傍聴した記録。
といっても堅苦しいものではなくて、フランクにというか、有体にというのか、「そんな書き方して大丈夫か」と思わせるような正直・率直な内容。
例えば「こいつ絶対やってるよ」とか「慣れると「なあんだ殺人か」って感じになっちゃいますよね」とか。

このため深刻なはずの裁判内容もエンタテイメント化されてしまい、気楽に読み進むことができる。
ただし、「かくも不幸な人生」の章は、「世の中って、そうは言っても厳しいもんだよね」と思わずタメイキをもらしたくなるような内容だったが。

巻末の傍聴マニアとの対談が特に面白い。傍聴を続けるうち、最大の関心事は法務省(裁判官)の人事になってしまった人、なんていうのは「あるよね、そういうの」と深くうなずけた。

通勤途中にある本屋の文庫本ベスト10に入っていたのを見て、最新版の奥付を見ると、文庫発売が7月なのにすでに8刷だった。地味な内容のわりの読まれているのは、タイトルと親しみやすい表紙のデザインのおかげだろうか。それとも裁判員制度導入の影響?(ってことはないわな)
コメント
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