蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

自民党を壊した男

2006年11月18日 | 本の感想
自民党を壊した男(読売新聞社政治部 新潮社)

この本が出版されたのは2005年春。
2005.9.11.の衆院選における自民党の歴史的大勝の前に書かれたもので、公明党との連立、選挙でのもたれあいや政策プロセスの変更のために崩壊していく自民党の政治支配を描く。

この本を買ったのは出版直後だったのだが、今頃になって読んだのは、買ったまま押入れに積み上げていたから。

「自民党を壊した男」というのは、もちろん、小泉元総理だが、この本を読むと、その「壊した男」の政権も、回天の9.11選挙がなければ崩壊寸前であったことがうかがわれる。
陰謀史観的に言われる「小泉は郵政法案の否決を切望していたのではないか」という話もあながち否定できないかなあ、と思った。

出版後の選挙の大勝で、自民党は崩壊どころか(公明党を加えると)衆院で2/3を占めるというかつてないオールマイティともいえる権力を持った。
しかし、大勝の原動力となった小泉総理はその権力の行使に極めて慎重で、選挙後、重要な決定は(郵政民営化を除き)ほとんどなされなかった。あまり強引なことをやれば、過半数スレスレの参院選が心配だし、「強引なこと」をやろうとして公明党にソッポを向かれるのも懸念される。郵政民営化という大願を成就させたとあって、脱力していただけかもしれないが。
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