老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「サラの鍵」

2012-09-25 16:29:39 | 戦争・平和
サラの鍵という映画を見ました。昨年公開されたばかりのフランス映画です。

この映画を見るまで私は、ホロコーストはドイツがやったこと、フランスはそれと戦っていた国と思っていました。しかし、この映画はフランスの恥部とも言うべき事実を明らかにしています。

1942年7月16日の朝、パリに住むユダヤ人の一斉検挙が行われました。その数13000人。ほとんどが冬季屋内競輪場に収容されたそうです。水も食べ物もトイレも十分でないところに数日閉じ込められ、それから各地の収容所やアウシュヴィッツに送られたそうです。その競輪場の名前をとって「ヴェル・ディヴ」事件と呼ばれています。

映画はそのパリの朝、10歳の少女サラが警察が来たことを知って、弟を納戸に入れて鍵をかけ、すぐに戻るからと両親と共に連行されるところから始まります。70年後偶然その部屋に住むことになった女性ジャーナリストが、「ヴェル・ディヴ」事件を取材しているうちにその部屋の少女のことを知り、調査を進める・・・という形で、70年の時を行ったり来たりしながら進みます。

印象に残ったのは、フランスでもやはり若い人は戦争中に自国が行ったことを知らないと言うことでした。一緒に雑誌を作っている若いスタッフが「ドイツがやったこと」と思いこんでいるのに対し、主人公が「フランスの国家と警察がやったのだ」と説明すると、ハッと息を飲む、という場面がありました。

思わず今の日本を思い浮かべてしまいました。(この監督はフランスの「右翼」から「自虐」とか言われていないのかな、なんて心配したり。)

映画の中にも出てきますが、1995年にシラク大統領が初めてホロコーストにおけるフランス国家の責任を認め、フランス人には「時効の無い負債」があると、この競輪場の跡地で演説したそうです。若いスタッフがそのことも知らなかったのですが。

映画はとても見応えがありました。重いけれど、これを避けては未来は無い、自国の恥部となるような事実でもきちんと向き合っていこうという確かな意思を感じて、心から見て良かったと思える映画でした。それでこそ自国を誇りに思えるだろう・・・と。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
コナシ

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