老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「自民党改憲案、国家安全基本法案の問題点を斬る」(伊藤真さん講演)

2013-01-28 14:36:10 | 憲法
1月24日に参議院議員会館で行われた「102年後に大逆事件を問う-再び息苦しい社会をつくらせないために」集会に於いて、「法学館憲法研究所」所長の伊藤真さんから「自民党改憲案、国家安全基本法案の問題点を斬る」と題して、概略以下のような話がありました。

安倍自民党政権は、来る参院選後には改憲実現に向けて、具体的な手を打ってくると言われています。この憲法草案がどのような内容で、どんな問題点があり、これが通ったら私たちにどんな影響があるかを、私たち一人一人が充分知っておくことが、今はとても重要だと、伊藤さんのお話を聞きながら、改めて強く感じさせられました。

***
☆自民党改憲草案の問題点

(1)立憲主義から非立憲主義へ
いつの時代も「正義」の名の下に権力は乱用される可能性を秘めている。だから「憲法」で縛りをかけておかなくてはいけない。「憲法」を盾に国民は権力の乱用に抗うことができる。それを「立憲主義」という。自民党草案はこの現行憲法の基本原理を大転換する。
〔関連条文〕
・前文
-現行憲法の「日本国民は」の書き出しに対し草案は「日本国は」「我が国は」の書き出し-後半の「国民は」「我々は」の後には国民の義務が述べられている。
・102条(現99条)最高法規の尊重・擁護義務
現行憲法は「公務員は(憲法を)尊重し擁護する義務を負う」としているのに対し、草案は「国民は尊重しなければならない」と国民に尊重義務を負わせている。

(2)平和主義から戦争をする国へ
〔関連条文〕
・9条
-現行憲法の「戦争の放棄」の表題を、草案は「安全保障」に置き換え
-無制限の自衛権(「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」の文言)
-自衛軍の明記
-交戦権否認条項の削除
-文民統制の不徹底(「国会の承認その他の統制に服する」の文言)

(3)天皇の元首化と国民主権の後退
天皇の権威を高め、機能を強化することにより国民主権を相対化する。
〔関連条文〕
・前文
「日本国は・・・天皇を戴く国家であって、・・」の文言
・1条
現行憲法「天皇は、日本国の象徴であり」に対し、草案は「天皇は、日本国の元首であり」
・3条
「国旗・国家尊重義務」の新設

(4)権利拡大・人権保障に後ろ向き、義務拡大に前のめり。「公」を「個」の上位価値とする
〔関連条文〕
・前文
現憲法の「平和生存権を削除」、「国防義務を明記」
・12条
現憲法の「公共の福祉のために」の文言に代えて「公益及び公の秩序」服従義務を制定
・13条
現行憲法の「個人として尊重」に対し草案は「人として尊重」
・24条
「家族助け合い義務」の新設
・その他、国防義務(前文)、領土・資源確保義務(9条)、緊急事態指示服従義務等々、従来3個だった国民の義務(教育・勤労・納税)に加えて新たに10個の義務を明文化

☆その他、現時点で注意すべきポイント:
(1)現行憲法96条「憲法改正の発議」を草案100条で「過半数で発議」に変更。安倍政権は、この条文改正を先行しようと意欲を見せている。
(2)改正の前に既成事実を作るものとして、「集団的自衛権」「PKO、PKFへの参加」「武器の輸出入」などを盛り込んだ「国家安全保障基本法」の早期成立を目指している。
***

☆参照資料:
「自民党憲法改正草案(現行憲法対照)」平成24年4月27日
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
「国家安全保障基本法案(概要)」平成24年7月4日
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-137.pdf

「護憲+BBS」「憲法を考える」より
笹井明子

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