老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

ワクチンパスポートの功罪

2021-10-27 04:08:05 | 政治
「護憲+」メンバーyo-chanさんが日々紹介している「コロナ関連記事」を見ていると、世界の先進国と言われている国々の中に、政府がコロナワクチンの接種とワクチンパスポートの所持を半ば義務化している国がかなりあることが分かる。

例えば、フランスでは、7月以降「健康パス」がレストランやナイトクラブ、ジムや映画館に入場の際必要になっている。

イタリアでは、10月15日から年末までの期間「グリーンパス」を提示できない労働者は無報酬で就労を停止され、違反の場合は1500ユーロまでの反則金が科せられるという。(ネットには、パスポートを持っていなかった高齢女性が病院の診察を拒否される、という映像も流れていた。)

米国では、全米の医療従事者が10月29日発効予定でワクチン接種が求められることになり、また、多くの州・都市・民間企業がワクチン強制化の動きを開始し、数千人の労働者に一時休職の事態が進行しているという。

オーストラリアでは、ICUに占めるコロナ患者が能力の25%に達したら、レストランやホテル等の利用をワクチン接種者又はコロナから回復した人に限定すると首相が声明。またヴィクトリア州ではワクチンを忌避しているとして40人以上の警官が免職されている。(ツイッター情報によれば、メルボルンでは在宅勤務が不可能なエッセンシャルワーカーのワクチン接種が10月15日から義務化されたとのこと。)

こうした措置に対し、各国では市民による抗議デモが起き、日々激しくなっているというのも、民主主義が定着した国の一側面と言えなくもないが、それにしても、コロナ対策と経済対策の両立に苦慮しているとはいえ、ワクチン接種とワクチンパスポート提示の強制、パスポートの有無による自由の制限や、場合によっては失職、という、自己決定権や個人生活を侵害する措置を、民主主義国家といわれる国のリーダーたちが、コロナに苦しむ国民に向けて躊躇なく発動していることに、国家体制に関わらず国家権力が内包する強権性の恐ろしさを感じずにはいられない。

翻って日本の場合、ワクチンも当初は入手自体が遅れ、政府・自治体間に責任のなすり合いが生じるなど、ドタバタがあったにも関わらず、国民の接種は堅調に進み、10月26日には2回目接種が70%を超えたという。

ワクチンパスポートについては、マイナンバーカードに組み込む、組み込まないなどの議論が始まったところで、衆院選で棚上げとなったのか、マイナンバーカード自体と同様、普及、実用化の見通しは立っていない。

さて、ワクチンにまつわる動きに限らず、政府のコロナ対策がグダグダの連続だったにも拘わらず、なぜかここにきて、コロナ感染が急激な減少傾向に転じ、9月末をもって緊急事態宣言が解除された後も低水準が続き、10月25日からは東京のリバウンド防止措置も大幅に緩和されることになった。

その最大の要因を求めるとすれば、やはり手洗い、マスク、外出自粛、ワクチン接種など、個人個人が自主的、積極的に防衛策をとろうとする日本国民の用心深さにあるのではないだろうか。

そして、その用心深さが、国家権力がプライバシーに介入してくることへの無意識の拒否となって、マイナンバーカードに象徴される個人情報のデジタル化への消極的非協力にも表れているのではないか。

一見合理的でないように見えるこうした国民性が、政府による国家統制、国民生活への過度の介入を阻みつつ、コロナ禍で誰もが苦しむ中、政府の様々な手抜かりにも拘わらず、自助と共助を駆使しながら、何とか日本社会を維持してきたように思われる。

10月31日は衆院選投開票日。新たな政治の在り方を方向付けるこの日に、私たちは個々人の力をどれだけ信じ、政治に何を求め、政治が時にしでかす何を拒否するのか、その判断を込めて、一票を投じたいと思う。

「護憲+コラム」より
笹井明子

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