おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

  植   物

2014-06-10 12:32:54 | Weblog

 この時期庭木を向こうにして窓際にゴーヤを植えるようになった。
今年もゴーヤを三株とミニトマト一株ピーマン二株を植えた。トマトとピーマンはプランターである。
 植物は片時も成長を待ってはくれない。トマトの茎はごつごつと曲がり出したしゴーヤは何本となく蔓を伸ばして、となりのボケや菊にからまり始めたので、ここは一番ネットのお出ましと倉庫のネットを取り出してきて張った。
 やがて一人では食べきれないほどゴーヤがぶら下がるであろう。
 旬の食材と言えば苦い思い出がある。
 終戦の翌年の今頃であった、自転車の後ろに筍を積んで四キロばかり離れた母の里へお米の無心に行かされた。
 そこでは伯父夫婦と従姉のちかちゃんの三人が蚕の世話で忙しくしていた。
 跡取り娘のちかちゃんは女学校の専攻課だったと思うが「こんなものを持って来て筍など家の薮に幾らでもあるわ」と言っているのが聞こえた。
 伯父が「関がそんな事を言って来るのは初めてだから気良く持たせてやってくれ」と言っていた。
 盆や正月に遊びに行った時の長閑な雰囲気とは違ったものを感じた。
 お米を積んで家に帰り、母にそれを言うと怪訝な顔をした母は「確か裏の薮は淡竹であって孟宗では無かった筈だけど」と言った。
 母も地主の娘でお嬢さんであったから、そんなことには気付かないうちにお嫁に来てしまったのであろう。
 戦後農地解放や、凍結があったりして大変な食糧難の時代があったのである。
 今では何でもあり、捨てるほどの環境で育つ子供たちには思いもよらない事であろう。
 ちなみにちかちゃんは今年米寿で健在なので、従姉会には会う事が出来る。
 今朝ピーマンの初生りを二個取った。

   俳句  からからと白き春蚕の繭市場

        読経せる夏座布団や波の柄

コメント (2)
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