連日、大津市の中2男子生徒の自殺問題の報道ぶりはすさまじい。
これまで、児童・生徒のいじめによると見られる自殺は数多くあった。
しかし、これほどの反響を呼んでいるのは、まさに前代未聞のこと。
いじめの事実を隠匿して知らんぷりした学校と市教委。
被害届けを3度も出されたのに、受理しなかった警察。
学校と市教委は、世論に袋叩きにされる形でしかたなく、
全校生徒アンケートを結果を公表するなどやっと腰を上げ、
警察は、猛烈な批判を浴びた反動で意地になったかのように、
中学校と市教委へ出向き、異例の捜索をして本腰を入れ始めた…
…という構図が見えてくるけれど、やはりこの際、
いじめは子供のいざこざではなく、立派な犯罪なのだ…
ということを、子供や親や教師たちに徹底する意味でも、
また、いじめが発覚するとどうなるかを知らしめるためにも、
これくらいの厳しい追及と、当事者や責任者の厳罰化を促すべきだ。
そうしないと、いじめはこれからも延々と続き、自殺者も絶えないだろう。
そんなことを思いながら、この件に関するネット情報を見ていたら、
自殺した男子生徒に執拗にいじめを繰り返したとされる同級生3人の、
実名から顔写真から、さらに親たちの実名・写真から担任の実名まで、
数多くのサイトに、これらが余すところなく出ているのには驚いた。
いじめた3人のうち2人は今は京都の中学に転校した、とも言われている。
いじめ同級生3人の中でも主犯格と言われる少年Kは、
いろんなサイトで、何枚もスナップ写真が掲載されている。
(むろん他の2人も実名や写真があちらこちらに出ている)
その主犯格の少年の父親と母親も実名と顔写真があり、
会社経営者の父親は去年のこの中学校のPTA会長で、
母親は「人権を守る市民の会」に所属していたとか、
いや逆に母親のほうがPTA会長をしていたとか…
どこまで本当なのか、見分けがつかないが、もうひとつ、
この両親のことだけでなく、別の少年の祖父のことも書かれている。
祖父は、滋賀県警のOBだという。
生徒自殺事件に自分の孫のいじめが関わっていると言われた時、
この祖父は自分のブログに、
「警察の責任より前に、自殺した生徒の親に問題があるのでは」
というようなことを書いたとか書かなかったとか(どっちや…?)
すると、警察が被害届けを受理しなかった陰にはこの祖父が動いた…
なんていう邪推も生じようというもの。
むろん、これも、ネットでおなじみのガセネタの可能性が高い。
でも、もっともらしいストーリーだけに、怖い。
もう一人、世間から非難を浴びているのが担任の教師である。
この教師の氏名は…たいていの人はもう知っているので、
はっきり書くけれど、森山進、という。
この「森山進」を、たとえばヤフーの検索にかけると、
出るわ出るわ、ワンサと「大津いじめ事件」に関連して出てくる。
同姓同名の人はお気の毒だなぁと思うほど、この名前のオンパレードだ。
顔写真も載っているし、恐ろしいほどプライベートなことも書かれている。
つまり、加害者やそれを傍観していたとされる教諭は、
今やネットで、丸裸にされてしまっているのである。
いくら新聞・テレビでは名前を伏せ、顔写真を掲載しなくても、
ネットの世界では誰もが簡単にそれを見ることができるのである。
おそろしい時代…といえば、そうかも知れない。
かつて神戸で起きた14歳の少年「サカキバラ」の連続殺傷事件で、
週刊誌がこの少年の顔写真を載せて大きな問題になったけれど、
そんなことはもう、今は昔、の話である。
少年犯罪は少年法にがっちり守られて、
「被害者の人権より加害者の人権のほうが大事なのか」
という批判が後を絶たなかったけれど…
ネット社会ではどんな「保護」も通用しなくなった。
元々、保護され過ぎるのが少年犯罪を助長してきたところもあり、
こうして明らかにいじめを行った少年なら、写真も構わないだろう。
世間も、この人間がこういうことをした、ということを知る権利がある。
ということで、これが、少年犯罪の抑止につながるのであれば、
それなりの社会的役割を果たすことになるんだろうけど。
でも、ネット上でいじめ、というのも新たに発生しつつある。
それに、誹謗中傷の類もますます増える傾向にある。
こちらは姿が見えない分、もっと恐ろしいところがある。
なかなか、むずかしい問題ですね。 本当に。