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平岩弓枝さんの作品、文庫版『御宿かわせみ』シリーズは全部読んでしまったので、講談社文庫の『はやぶさ新八』シリーズを読んでみようかと思いましたが、『御用帳』と『御用旅』と別シリーズなのですね。『御用帳』の方を先に読むべきだったと後で気づいたお粗末。それでもまあ後から読めば大勢に影響はないだろうと割り切って、先日購入した二巻を読み始めました。
町奉行・根岸肥前守鎮衛(やすもり)の内与力、隼新八郎は、奉行から内々に某藩の姫君が無事に国許に到着できるよう側面からの警護を命じられ、江戸を旅立ちます。忠実な治助をお供に東海道五十三次を歩くわけですが、実は誰が姫君なのかよくわからないまま旅が続く。これこそ姫君だと思ったら実は別人だったり、それは姫君と言えば若いお嬢さんを想像しますよ。テレビや映画のステレオタイプと承知しつつ、いわば時代物の「お約束」ですから。そこが平岩弓枝さんの工夫したくすぐりか。
ただし、作品としては『御宿かわせみ』シリーズのような情感の中の気品、のようなものには乏しく、いささかご都合主義が目立ちます。まぁ、明るく太平楽な娯楽ものと割り切るべきでしょう。藤沢周平で言えば、『蝉しぐれ』『三屋清左衛門残日録』の格調高さに対して、『よろずや平四郎活人剣』のような屈託のない明るさ、に対応するような関係でしょうか。
しかし、講談社文庫の「時の旅人になる。」時代小説フェアの帯、劇画風のイラストはあまりいただけません。目つきが鋭いのは当然のこととしても、すだれのような前髪がワンパターンです。なぜ暗い情念を抱えた若者はこういうすだれ髪をするものと決まっているのでしょうか。衣装や時代背景は違っていますが、中年おじんにはみな同じに見えてしまいます。
町奉行・根岸肥前守鎮衛(やすもり)の内与力、隼新八郎は、奉行から内々に某藩の姫君が無事に国許に到着できるよう側面からの警護を命じられ、江戸を旅立ちます。忠実な治助をお供に東海道五十三次を歩くわけですが、実は誰が姫君なのかよくわからないまま旅が続く。これこそ姫君だと思ったら実は別人だったり、それは姫君と言えば若いお嬢さんを想像しますよ。テレビや映画のステレオタイプと承知しつつ、いわば時代物の「お約束」ですから。そこが平岩弓枝さんの工夫したくすぐりか。
ただし、作品としては『御宿かわせみ』シリーズのような情感の中の気品、のようなものには乏しく、いささかご都合主義が目立ちます。まぁ、明るく太平楽な娯楽ものと割り切るべきでしょう。藤沢周平で言えば、『蝉しぐれ』『三屋清左衛門残日録』の格調高さに対して、『よろずや平四郎活人剣』のような屈託のない明るさ、に対応するような関係でしょうか。
しかし、講談社文庫の「時の旅人になる。」時代小説フェアの帯、劇画風のイラストはあまりいただけません。目つきが鋭いのは当然のこととしても、すだれのような前髪がワンパターンです。なぜ暗い情念を抱えた若者はこういうすだれ髪をするものと決まっているのでしょうか。衣装や時代背景は違っていますが、中年おじんにはみな同じに見えてしまいます。
「はやぶさ新八」シリーズは、道具立てがかわせみと被っているような気がして、それほど読み込んではいませんでしたが、「~御用旅」シリーズは、趣向が変わっていて、非常に楽しむことが出来ました。
特に二巻の「中山道六十九次」は、新八郎の目的もはっきりしている上、見せ場も多く、のめりこんで一気に読んでしまいました。やはり旅モノは舞台がどんどん変わっていくので、長編でも飽きずに読むことが出来ますね。設定的に、新八郎に旅ばかりさせるのは無理があるとは思いますが、平岩弓枝さんには、御用帳よりむしろ御用旅シリーズをもう少し続けていただきたいと思います。
それでは、長文失礼いたしました。