電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ドヴォルザーク「交響的変奏曲」を聴く

2011年01月09日 06時01分07秒 | -オーケストラ
昨年の暮に、通勤の音楽としてドヴォルザークの「伝説曲」と「交響的変奏曲」をずっと聴いてきました。現在、プロコフィエフのピアノソナタに交代していますので、こちらをパソコンに取り込み、自室のデスクで聴くことができるようになっています。今更ながら、便利なものです。

「交響的変奏曲」のほうは、1877年に作曲し、初演はされたものの、長らく演奏されなかったのだそうです。それが、ドヴォルザークの名前も広く知られるようになり、とりわけ英国での人気は大変だったようで、10年後、1887年のウィーンフィルの英国楽旅の際に、リヒターがロンドンで再演して大成功をおさめたのだそうな。で、本来ならば作品番号も28番とかの若い番号になるべきところを、商売人ジムロックが、いかにも新作であるかのように、作品78とかいう番号を付けて売り出したのだそうです。な~るほど、それでジムロックとドヴォルザークの仲のぎくしゃくが始まるわけですね(^o^)/

それはさておき、曲の価値判断は目利きであるジムロックが、78という作品番号を付けても大丈夫と判断したほどに、曲そのものは充実した出来栄えです。1874年にブラームスが発表した「ハイドンの主題による変奏曲」に刺激を受けて作曲されたと Wikipedia にはありますが、なるほどと頷けます。まあ、正直に言ってしまえば、主題と変奏のストイックな構成感はブラームスのほうが魅力的ですが、活発な管弦楽の躍動感と旋律の親しみやすさの点ではドヴォルザークのこの曲もずいぶん魅力的です。

始まりは、レント・エ・モルト・トランクィロで。ゆっくりと、非常に静かに、くらいの意味でしょうか。遠くでティンパニのトレモロが鳴る中で、弦楽が主題を示し、2本のフルート(1本はピッコロ?)が小鳥のように歌い交わします。第1変奏は、ウン・ポコ・ピウ・モッソ、クアジ・アレグレット。そこから少し急いで、アレグレットくらいに、というほどの意味かと思いますが、木管が主役になり、金管はちょいとお休みで、という具合。以後、27の変奏とフィナーレまで、スラブ舞曲みたいな親しみやすいリズムと旋律が出てくるところもあれば、ちょいと悲しげなところもあり、性格的な描き分けもしっかりとあります。最後の、poco a poco cresc. 以降は、ティンパニがフォルテでばんばんぶっ叩く中で次第に高揚し、盛大にすかっとした終わり方です。

1976年に録音された、ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団によるおよそ20分強の演奏は、オーケストラ音楽を聴く楽しみを味わうのに十分な、魅力的なものです。「伝説曲」も大好きな音楽ですが、フィルアップされた「交響的変奏曲」も、オマケではない魅力を持った音楽だと感じます。

■クーベリック指揮バイエルン放送響(CD:UCCG-3945)

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