電網郊外散歩道

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山形交響楽団第278回定期演奏会でモーツァルト、ラヴェル、R.コルサコフを聴く

2019年06月10日 06時03分52秒 | -オーケストラ
梅雨入り宣言したら、案の定、お天気が持ち直した日曜日、山響こと山形交響楽団の第278回定期演奏会を聴きました。午前中に、もうすぐ始まる「佐藤錦」の収穫の準備として、サクランボ果樹園の草刈りを行い、昼食後には少しだけ「紅さやか」の選果をして、高速を飛ばして日曜のマチネにでかけました。会場に到着すると、まさにロビーコンサートが始まるところで、ラッキー! 曲目は、

ドビュッシー:クラリネットのための第1狂詩曲
 Vn:髙橋和貴・平澤海里、Vla:山中保人、Vc:渡邊研多郎、Fl:小松﨑恭子、Cl:川上一道、Hrp:小橋ちひろ

というもので、少し湿度の高いお天気の下、ドビュッシーの透明感ある涼し気な響きで始まりましたが、演奏の後半はけっこう熱量もアップしていました(^o^)/ いい曲ですね。

会場に入ると、間もなくプレコンサートトークがありました。西濱秀樹事務局長と飯森範親音楽総監督が、山形信用金庫が創立70周年を記念して本日の協賛をしてくれていることを紹介、理事長さんもご挨拶しました。近年は、このあたりの気配りも細やかです。また、飯森さんから、先の『音楽の友』誌の「世界のオーケストラ・ランキング」で山響が45位に選ばれたこと(*1)が紹介され、会場から大きな拍手が起こりました。続いて本日の曲目とソリストの紹介。前半はモーツァルトで、14〜15歳位の頃の作品から序曲を二つと、協奏曲はウィーンフィルの首席ファゴット奏者ソフィー・デルヴォーの妙技を、後半はラヴェルとリムスキー=コルサコフの2曲で、オーケストレーションの見事さと、特に「スペイン狂詩曲」ではソロの妙技を楽しんで欲しい、とのことでした。
本日のプログラムは、具体的には次のとおりです。

  1. モーツァルト/歌劇「救われしベトゥーリア」K.118(74c)序曲
  2. モーツァルト/歌劇「ポントの王ミトリダーテ」K.87(74a)序曲
  3. モーツァルト/ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191
  4. ラヴェル/マ・メール・ロワ(管弦楽版)
  5. リムスキー=コルサコフ/スペイン奇想曲 作品34
     ソフィー・デルヴォー:ファゴット
     飯森範親:指揮、山形交響楽団


さて、1曲めの歌劇「救われしベトゥーリア」序曲は、いわゆるロマン派時代の序曲とは少し異なる面があるようで、歌劇の始まりに「シンフォニア」として演奏されるようです。楽器編成と配置は、ステージ左から、第1ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、第2ヴァイオリン(7)、管楽器をはさんで正面最奥部にコントラバス(3)の 8-7-5-5-3 のの対向配置となっています。正面奥にオーボエ(2)、ファゴット(2)、その奥にホルン(4)、トランペット(2)、両方共ナチュラルタイプを使用しているようです。コンサートマスターは髙橋和貴さん。全体は3部からなり、いずれも短調で、急ー緩ー急 の構成。けっこう劇的な緊迫感もある音楽と感じました。なかなか魅力的な音楽です。

第2曲、14歳のモーツァルトがイタリアのオペラハウスにデビューし大成功をおさめた歌劇「ポントの王ミトリダーテ」序曲です。これもイタリア風シンフォニアであり、急ー緩ー急の三つの楽章からなります。楽器編成は、Fl(2)-Ob(2)-Fg(1)-Hrn(2)、弦楽5部(8-7-5-5-3) です。こちらは、「救われしべトゥーリア」序曲とは違って、明るさや典雅さの面が強く感じられる音楽となっています。

前半最後となる第3曲は、「ファゴット協奏曲」です。若干編成を縮小して、6-6-4-3-2 の弦楽五部に Hrn(2)-Ob(2) が加わります。大きな拍手の中をソリストのソフィー・デルヴォーさんが登場、ファゴットも大きな楽器ですが、黒のドレスに長身のソフィーさんには楽器を持って立つ姿がごく自然に見えます。モーツァルトの演奏を得意とする山響のアンサンブルをバックに、ソフィーさんの自然な、柔らかな響きが伝わります。例えばオーボエが強めのツッコミを入れると、ファゴット・ソロが柔らかく返すように、低い音から高い音まで、ごく弱い音も、ほんとに流れるように自然で柔らかい! スタッカートは「ワッハッハ」みたいに身体を上下に揺らして、聴いているほうも思わず「乗ってくる」ようです。

聴衆の大きな拍手に応えて、アンコールを一曲。J.S.Bach「無伴奏フルートのためのパルティータ」BWV.1013から、第3楽章「サラバンド」でした。これもステキだった!



ここで、15分の休憩です。

後半の最初は、ラヴェルのバレエ音楽「マ・メール・ロワ」です。楽器編成は、8-7-5-5-3 の弦楽5部に、Fl(2:Pc持ち替え)-Ob(2:EngHrn持ち替え)-Cl(2)-Fg(2:CntFg持ち替え)ーHrn(2)-Timp-Perc(トライアングル、シンバル、バスドラム、タムタム、シロフォン、グロッケンシュピール)-Hrp-Cel というもので、前半のモーツァルトと比較すると、なんとも鳴り物が多いです。その分、面白い響きがたくさんあって、ヴァイオリンが「キュイッ、キュイッ」と鳥の鳴き声を真似たり、コントラファゴットが面白い低音を出しますが、これは美女と野獣が対話する際の野獣の声なのだそうな。チェレスタの玉を転がすような音も面白いし、イングリッシュ・ホルンの鄙びた響きも好ましいものです。そんな管楽器や打楽器に目を(耳を)奪われているけれど、実は弦楽の透明で優しい響きがあっての話で、山響の弦楽セクションの美質が発揮されたものと感じました。

最後は、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」です。楽器編成は、8-7-5-5-3 の弦楽5部に、Pc-Fl(2)-Ob(2:EngHrn持ち替え)-Cl(2)-Fg82)-Hrn(4)-Tp(2)-Tb(3)-Tuba-Timp-Perc(スネアドラム、バスドラム、トライアングル、クラッシュ・シンバル、サスペンド・シンバル、タンバリン、カスタネット)-Hrp というもの。チェレスタが退き、木管・金管が強化された編成といったところでしょうか。
演奏は、勿体を付けずにいきなり開始。とにかく元気よくノリノリで明るくはじけそうな音楽でした。川上一道さんのクラリネットや齋藤真美さんのイングリッシュ・ホルンがステキでしたし、スネアドラムとブラスのファンファーレに乗って闘牛士か踊り子が登場するかのような髙橋和貴さんのヴァイオリン、矢口里菜子さんのチェロも思い切りの良いスカッとする演奏に貢献。そして、オーケストラ全体のバランスの取れた響きが、ホール全体を満たしていました。良かった〜! 今回も、良い演奏会でした。

プログラムがちょっと変わっていましたので、集客状況がどうなのか少し心配もありましたが、いざフタを開けてみれば、最前列までいっぱいで空席がほとんどない、ほぼ満席と言って良い状況でした。山響事務局も喜んだでしょうが、ファンも大いに喜びました(^o^)/

(*1):世界のオーケストラの「人気投票」の結果は〜雑誌『音楽の友』のランキング〜2019年4月

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