電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

言葉と感覚

2016年02月23日 06時04分25秒 | Weblog
水の温度は、1気圧では0℃から100℃までありますが、数字で表す以外に、温度を表す言葉は、「冷たい、ぬるい、あたたかい、熱い、人肌くらい」など、そう多くはないように思います。例えば58℃とか65℃とかを的確に指示する形容詞は存在しないのでは。

卵を加熱するとき、温度によって、先に黄身が固まるか白身が固まるかが違います。このあたりの温度の加減は、温度計などなかった時代には、感覚と経験で伝えたものでしょう。言葉に頼って理解しようとすると、細かな温度の違いが的確に伝わらない。それで、職人は言葉ではなく勘と経験を重視したのではないかと思います。

温度センサーが登場すると、プログラムの仕方によって半熟卵にするか温泉卵にするかを設定できてしまうというのは、たしかに技術の進歩ではありますが、言葉が感覚のすべてを表しているものではないことに、気づかないでしまうように思います。

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