電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

最近見た映画は

2007年03月02日 06時36分46秒 | 映画TVドラマ
最近見た映画は、「幸福のチカラ」と「墨攻」です。

よく、頭は切れるんだが堅実さがなくて、あぶなっかしい人がいるものです。実直に働くよりも、賢く立ち回って一攫千金を狙うタイプ。「幸福のチカラ」の主人公は、まさにこのタイプの典型ですね。高額な医療機器の販売で一儲けしようと考えた結果が、全然売れずに在庫の山。すっからかんになり、生活を支えてきた奥さんも愛想をつかして去っていってしまう。最愛の息子と一緒にホームレス生活に陥り、ようやく生活に必死になります。
で、つかんだチャンスが株式仲買人の研修。持ち前の頭脳と口八丁手八丁の才能を生かして、ようやく這い上がるお話ですが、いやはや、米国のホームレス生活の実態がこれでもかと描かれます。アンタ、よく頑張ったねと言うべきか、それとも教会の慈善事業があって良かったねと言うべきか。サクセス・ストーリーに感動するよりも、なんとなくあぶなっかしいタイプの人間の典型を見てしまうのは、厳しすぎる見方でしょうか。

次に「墨攻」ですが、酒見賢一原作『墨攻』とはだいぶ違う感じでした。原作では、アホ王子が頭に来て革離を殺害するのですが、映画では王子が革離に心酔する。原作にヒロインは登場しませんが、映画ではお約束の場面がちゃんと用意されます。たぶん、原作→劇画→映画、という経過をたどるうちに、少しずつ変化していったものがあるのでしょう。
先の大河ドラマ「風林火山」でも、山本勘助がたくさんの甕を埋めて水を張り、水面の振動の様子から地中でトンネルを堀る状況を把握する、全く同じネタの場面が出ていました。もっとも、これは宮城谷昌光作品でも既出の場面。文系オンチの私が知らないだけで、孫子や墨子の戦術として、中国では有名なのかもしれません。
それにしても、後味の悪い大量殺戮の映画でした。おまけに最後は声が出ないために助けを呼べない哀れさ。水面をたたく水の音に、いいかげん気づけよ、と思いましたです、ハイ。
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