電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」を聴く

2007年03月22日 06時43分23秒 | -室内楽
ときどき雪が降ったりはしますが、日一日と春の気配が濃くなってきています。陽気に誘われて外に出ると、風はまだまだ冷たいけれど、ガラス窓越しの陽光はぽかぽかとあたたかく、まどろみを誘います。こんな日は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを聴きましょう。もちろん、第5番「春」です。

第1楽章、アレグロ。親しみやすい、優雅でのどかなメロディが始まると、思わず気分も明るく晴れやかになるようです。途中、若いベートーヴェンらしいピアノの活躍するところもあり、「春」という愛称がついたのも、もっともな気がします。
第2楽章、アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ。ヴァイオリンがとぎれとぎれに歌う中を、ピアノが素晴らしい旋律を奏します。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタにおけるピアノの役割の大きさに気づかされます。夢見るような気分に満ちた楽章です。
第3楽章、スケルツォ、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。速い動きで上昇し下降する音階風のパッセージが印象的な、とても短い楽章です。
第4楽章、ロンド、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。明るいロンド主題と、対比される第2・第3主題の陰影が、単に可愛らしいだけでないこのソナタの、内容的なふくらみになっているようです。

LPの時代に親しんだのは、ジノ・フランチェスカッティ(Vn)とロベール・カザドシュ(Pf)の演奏による、1961年に録音されたLP(CBS-SONY,23AC-522)でした。この華やかで清潔な演奏が、長くこの曲の個人的なスタンダードとなりました。
CDの時代になり、ある郊外型書店が閉店セールを行った際に、初めてナクソスのCDを多数購入しました。この時に入手したのが、今CDで聴いている、西崎崇子(Vn)とイェネ・ヤンドー(Pf)によるナクソス盤です。1989年にブダペストのイタリア協会でデジタル録音されています。演奏は、テンポはややゆっくりと、スケールを感じさせるものです。
いずれも、併録されているのは、同じく第9番「クロイツェル・ソナタ」です。

■ジノ・フランチェスカッティ(Vn)、ロベール・カザドシュ(Pf)盤
I=7'00 II=4'50 III+IV=7'28" total=19'18"
■西崎崇子(Vn)、イェネ・ヤンドー(Pf)盤
I=9'35" II=5'43" III=1'08" IV=6'33" total=22'59"
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