評価 (3点/5点満点)
ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットによる、確実にやってくる人生100年時代の戦略論。
国連の推計によれば、2050年までに日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込みです。いま、50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい。
この本では、長寿化の恩恵に目を向け、どうすれば個人や家族、企業、社会全体の得る恩恵を最も大きくできるかを中心に論じています。
・長寿化に備えるためには、人生の締めくくりの時期への準備をするだけでなく、人生全体を設計し直さなくてはならない。
・長寿化を恩恵にするためには、古い働き方と生き方に疑問を投げかけ、実験することをいとわず、生涯を通じて「変身」を続ける覚悟をもたなくてはならない。
・人々が70代後半や80代になっても活力と生産性を失わず、長く働き続けられれば、年金問題や人口減少の弊害はだいぶ和らぐ。
平均寿命がどこまで伸びるのかは議論がありますが、当面はさらに伸びるのは間違いないでしょう。その際、お金といった有形資産からスキルや健康、人間関係といった無形資産へのシフト、「教育→仕事→引退」の年齢に応じた3ステージから「エクスプローラー」(1か所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に敏捷に動き続ける探検者)、「インディペンデント・プロデューサー」(職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人)、「ポートフォリオ・ワーカー」(異なる種類の活動を同時に行う人)といった新たなステージの誕生など、先を見通すのが難しい中での提言・シナリオはなかなか考えさせられます。
日本語版でも400ページに及ぶ骨太の作品。私も読むのに3日かかりました。