評価 (3点/5点満点)
何かをしている瞬間に一瞬の雷のように発見やアイデア、ある思考がやってくる。これはまさに著者の江上隆夫さんが考える‘降りてくる思考’の状態を表しています。世の中を席巻するアイデアのほとんどは、考えて、考えて、考え尽くしたあとの空白のときにポンと‘降りてくる’ものがほとんどです。
また、この能力はわたしたちの脳が当たり前に備えている「無意識の仕組み」です。‘降りてくる思考’を行うための唯一の方法は、オープンでリラックスした脳内環境を意識的につくることにあるのです。
脳内環境づくりの1つ目のポイントは「脳を狭く小さく使う」こと。対象を思い切り絞り込んで考えるということです。2つ目のポイントは「脳を休ませる」こと。最もよいのは睡眠です。
この本では、ごくごく当たり前にできる、脳を狭く小さく使うための「質問」もしくは具体的な「指示」が、9つの分野で48項目紹介されています。
変える/なくす/くっつける/盗む/~だとすると/見えるようにする/調べる/捨てる/ちょっとだけをちょっとだけ
クリエイティブディレクターの江上さんの感性溢れる表現も秀逸です。
・直感とは、最も深い思考形態であり、無意識が生み出した論理的な結論だと私は考えています。(P.36)
・ビジョンは、あなたの「願望」という地面の上に、新しい技術や考え方、世界の動きを「材料」に、「直感」を養分として生まれてきます。(P.154)
・新しいアイデアは、いまの「そこそこよいアイデア」を生んだ土壌とは、まったく違う新しい土壌にタネを埋めないと発芽しません。(P.198)