日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

クラスを移っても、すぐにみんな仲良くなる。小さい学校のメリットですね。

2024-06-18 07:25:10 | 日本語学校
雨。

さっきまで、少々強く降っていたのですが、今はシトシト雨に変わっています。今日は一日中雨ということで、「梅雨の前触れ」か「梅雨の走り」みたいな気がしていたのですが、だれもそうは言っていない…。これは「梅雨」とは無関係の雨、なのでしょう。

かなり以前に、「梅雨前線」がとか、「梅雨の走り」などという言葉を聞いていたような気がするのですが、それも泡のように消えてしまい、今、よく耳にするのは、「梅雨の入り」が遅くなっているということと、「梅雨入り」が遅い時は「梅雨明け」が速くなる傾向があるということ。もしかしたら、今年も、酷暑が梅雨が明けると同時に始まるかもしれません。慣れない学生たちは大変ですね・

さて、「Aクラス」です。

学校の規模が大きければ、レベルに応じて、クラスを作ることができますから、楽と言えば楽。クラスの数が多ければ、それだけ学生のレベルに合わせることができるというもの。ただ長所あれば、短所も出てくるというもので、不都合な面もある。つまり、こちらに全体が見えなくなるのです。大まかな違いしかわからない。今のレベルしか見えないので、一ヶ月後にはこうなりそうだとか、半年後にはこうなるだろうと言った予測がつきにくくなるのです。それゆえ、それに応じた対応ができなくなりがち。

この 「Aクラス」。「四月生」が普通のレベルであれば、おそらく「七月生」と一緒にしてもそれほど問題は無かったかもしれない。ところが、半年で「N3」に合格できるような学生が二人いた。ただ人数が少ないので、「七月生」の中から、比較的真面目、あるいはヒアリングがある程度ある人も入れてやらねば、学校として経営が成り立たない。ということで、「七月生」の中から三人入れたけれども、「おそらく三ヶ月ほどで、普通の四月生並にはなれるだろう、ただ最初の三ヶ月ほどは、かなり頑張らねばなるまい」と思われたのは一人だけだった。

彼女も入れる前の「N4」の模擬試験では大した点は取れていなかった。それを昨年の12月に余裕で「N3」に合格した2人と一緒にするのですから、最初は戸惑ったでしょうね。ごく普通の神経の持ち主でしたから。中にはそれほどできていないのに、自信過剰としか見えない人もいるのです。そういう人はまず努力しませんから、私としては、こういう勉強するクラスに入れたくはない。いくら試験に合格できても、学校とは関係の無いところで、学んでいる(アルバイトなど)に過ぎぬので、上のクラスに入れてもそれほどの効果があるとは思えない。今のところでゆっくりやった方がいい。

こちらとしても勉強に向かう姿勢や資質などを考え、その人たちに向いたやり方を考えていかねばなりませんから、大雑把に「N3」組にはこう。「N2」組にはこうと決めていても、一人一人の対応も考えておかねばならない。三ヶ月ほどが過ぎた今はこちらの求めるような状態になっていてくれますから、多分、休み明けには問題なくなるでしょう。

一方、残りの2人は、スリランカ人で、この国から来ている学生は、ヒアリングには問題がないけれども、「漢字」をやらないという傾向が濃厚で、この二人もそうです。だいたい「N2」レベルに入りがけという学生であっても、ヒアリングテストだけなら、「N1」に合格できるのです。こういう人たちに対しては、漢字を読めるようにすべく、別の時間を与えておかねばならない。ヒアリングのいい人たちにとって、日本で暮らすメリットは他の国の人たちに比べてもかなり大きいものなのです。

ヒアリングが悪いと、周りにいくら日本人がいても、聞き取れませんから、生活の中から拾える音や単語が限られてきます。学校で習って、復習していたとしても、単語の量は毎日増えていきますから、それを聞く機会や使う機会がなければ、自然消滅していきます。同じ言葉の意味を何度も「質問」しなければならなくなったりもするのです。

今年は「十月生」の中から、二人このクラスに入れてました。一人は中国人ですから、「漢字」に問題は無い。ただ「読み」には苦労しているようですが、努力できる人ですので、読ませていくうちにどうにかなるでしょう。中国人にしてはヒアリングはいいのですが、読解力に少々難あり。とはいえ、「N4」レベルが終わったら、すぐに「N3」と「N2」を一緒に学ぶことになってしまったのですから、「大変だああ」と叫びたくなる気持ちもわかります。

そして、同じく「初級」が終わると同時に(「七月生クラス」は復習する時間があったけれども、彼らの場合、それ無しで)、「Aクラス」に来てしまったネパール人男子。彼が一番大変だったようです。今は教室で私の説明もだいたいは聞き取れるようになり、質問もできるようになっていますが、最初の数週間は、「どうして『Cクラス』にいた時と(先生は)違う。(先生の言葉が)全然わからない」と叫んでいました。もとより「初級クラス」と「N3」や「N2」クラスで同じような話し方をするはずもないし、同じような言葉を使うはずもない。慣れろでしたね。

彼の場合は、夏休み明けにはというのはちときついでしょう。年末かその一ヶ月前くらいを見ています。

面白いもので、とんでもない「ひらがな」を書いているのも同じ、本当に「N5」に合格して来たの?と思わせるのも同じであるようなネパール人であっても、彼と同じ所から来ている学生は、勉強に対しての態度には好感が持てます。真剣なのです。だから、こちらとしても、一歩でも前に進めてやりたくなるし、多くを学ばせたくなる。

昨年から来るようになった所なのですが、言語などに関する資質はどうしようもないのですが、真摯な態度は同じ。今年来た一人もそう。素直で真摯な部分は変わらない。ネパールでもかなりの田舎と思われ、試験にせよ、何にせよ、少し形が変わると、固まってしまう。どう反応していいのか、どう対応していいのか、全くわからなくなるのも同じ、こういうのに慣れていないのです。

「模擬試験を始めますね」と言った時、「いつか、いつか」と聞くのです。あまり前から言わないものなので、「まあ、来週からかな」と言っていたのですが、あとで、どうも午前の授業が終わった後に残らねばならないと思ったらしい。だからアルバイト先に休みをもらうべく行動せねばならぬと思ったらしい。

検索問題などは、どこをどう見ていいかわからない。つまりどうしていいかわからなくて、固まってしまう。要領よく、さっとやることができない。少しでも試験問題の形が変わるわからなくなってしまう。並べ替え問題もそう。「どうしていいかわかりませんでした」となってしまう。

尤も、やり方さえ、わかれば、「知識が一つ増えた、よかったね」で終われますから、楽なもの。彼などを見ていると、それほど真面目に勉強していない日本人でも、知らず知らずのうちにいろいろな体験をさせられており、このときはこう解けばいいのだなというのがわかっているというのがよくわかります。

彼のような人にとっては、ほんのわずかな一つ一つが知識になり、世界を広げて行っているのだと言うのがわよくわかります。そういう点からも、国を離れて正解であったと思います。

日々是好日
コメント
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