ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

一期一会

2023年09月21日 06時59分03秒 | 本の中から
一期一会は人との出会いだけでなく、本との出会いもまたあるのかもしれない。
もちろん人とは再会できるかもしれないし、本も再読できる、
でも読んでる自分自身すでに昔の自分ではない。
本も人も出会うべき時期というものがある。
「若きウェルテルの悩み」など今ではきっと読むのに耐えないだろう。
「チボー家の人々」は中高時代に読んでなくて、それがずっと気がかりだったので、数年前に読んでみた。
するとやっぱりたいして心に響かない。
一方、モンテーニュの「エセー」は学生時代に読んだときはたいして面白くは思わなかったけど、数年前に再読した時はとても面白く読めた。
やっぱり本には読む時期というものがある。
特に古典は、その大部分は若い時に読むに限る。
もしも読む時期を逃したら一生後悔することになるだろう。

こんなことを書くのも実は最近セリーヌを読み痛感したからだ。
セリーヌの「夜の果ての旅」を読んだのは学生時代。
とっても衝撃を受けた。
当時セリーヌは日本ではあまり知られていなくてこの本が初の邦訳。
筋はほとんど覚えていないけど(筋なんてあったのかな?)第一次大戦後の不安な世情が伝わってくる、悪意に満ちた作品だった。
その後、ほかに翻訳作品がなかったこともあって、セリーヌから遠ざかりほとんど忘れてかけていた。
ところが最近図書館で世界文学全集の中にセリーヌを見つけて、躊躇しながらも借りた。
きっと読み終えることはできないだろうな、と思いながら。
納められている作品は、セリーヌ最晩年の作品、「城から城」「北」「リゴドン」の3編。
「夜の果ての旅」がセリーヌのデビュー作なのでこれで最初から(途中を端折って)最後まで読むことになる。
内容はいずれも第二次世界大戦の末期から大戦後の不安な時代。
その上セリーヌはナチス協力者とされ敗戦間近のドイツに亡命し、さらにドイツからデンマークに脱出してそこで逮捕される。
そして1500人に上るナチス協力者の一人と次々と死刑になる中、何とか特赦で生き延びてフランスに帰ると、家の中のものはほとんど略奪されて、無残な姿になっていた。
そこで医院の看板だけは上げたものの、患者はほとんど誰も寄り付かない・・・
そんな状況で書かれた3部作。
「城から城」はなんとか読んだものの、「北」は途中で読むのを放棄して、「リゴドン」は、あったく読んでいない。
昔だったらこの3作品はもっと面白く読めただろう・・・
とこあれこの作品からはやっぱり「不安」を感じる。
そして「今」を感じる。
ロシアと中国の影を
そして日本の卑しい「サヨク」の影を
日本が奈落に落ちていく姿を。


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