しとしとしとしとと一日雨。
冷たい冷たい雨が降り続いた。
途中雨が止んだので、釜で鶏の餌を炊いた。
するとまたまた雨、さらにさらに真面目に雨。
でも炊きだしたらもうやめられない。
石を組み合わせて作った竈(かまど)で雨に濡れながら、
竹の薪で餌を炊いた。
今どきこんなことしてる人はいないだろうね。
でも炊いているのは鶏の餌、人の食事ではない。
昔はきっと家族の食事をこんな風にして作っていたんだろうね。
晴れた日だったらいい、朝や昼だったらいい、明るい夏の夕方だったらいい。
でも暗くて寒くて雨が降っている冬の夕方も、外で炊いていたのだろうね。
田舎の古民家と言うときっと誰でも思い浮かべるだろう、田の字型の間取りと竈。
でもね竈のあるうちは実はとっても少なかったんだよ。
この集落に引っ越してきて聞いてびっくりした、竈があるうちは3軒だけだったってことに。
ここのうちには竈があった。
庄屋さんのうちにあるようなとっても立派な竈ではなく、何とも侘しい竈だったけど、それでも家の中に竈はあった。
ところがほとんどの家ではそんな竈さえなかった。
外で石を組み合わせた作った「竈」で食事を作っていたのだ。
こんな暮らしをしてた人が都会暮らしを始めたら、きっと田舎に戻ってこようなんて誰も思わないだろう。
田舎暮らしに憧れている人たち、田の字型の家を見て、わぁ~~~いいなぁ~!なんて思っている人たち、
ほんのちょっとでもこんな田舎暮らしの悲しさを、思ってほしい。
そしてそれをわかったうえで、ぜひみんな田舎暮らしを始めてほしい。
田舎暮らし、都会暮らしには代えがたいもっともっといいものがいっぱいあるんだよ!
何よりもうれしいのは一番大切な自分の時間を人に売って暮らすのでなく、自分のために使えること。
これ以上にいいことがある?
自分の時間を人に売っていったい何に代えようというの?