ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

赤い鳥(1)

2020年05月16日 09時20分18秒 | 雑感
昔々大阪で会社勤めをしてたころ、
近くに珍しいココア専門の喫茶店があった。
土佐堀川沿いの古い木造の雰囲気のいい店。
土佐堀川は昔は藩の米屋敷が並んでいたところ。
その店の半地下の1階はきっと船着き場だったのだろう。
そこの2階の店に入るとほとんど女性客ばかり。
それでちょっぴり入りづらくて、たまにしかいかなかった。
メニューには知らないココアばかりで何を頼んだらいいのか惑った。
それで店のお勧めらしいココアを頼んで、川沿いのテーブルに座って、川を見ながらココアを飲んだ。
そこは「赤い鳥」という店。
店にはいかにも大正時代風の、ざらざらした紙に印刷された小雑誌「赤い鳥」が並べられていた。
そして、「赤い鳥」を読みながらをココアを飲んだ。
童謡や童話が載せられてあるその雑誌・・・見るだけでも触れるだけでも、懐かしい楽しい気分になったものだった。
というわけであまり行かなかったけどお気に入りの喫茶店だった。
ところがある時、久しぶりに行ったら、店はなくなっていた。
潰れたのかな?・・・流行ってたのになぁ?と、ちょっと残念だった。
ところが数年たった後だったか、心斎橋を歩いていると「赤い鳥」(COCOA Shop AKAI TORI) の看板がふと目に入った。
赤い鳥?あの「赤い鳥」なのかな?
やっぱりそこはココア専門店、やっぱりあの「赤い鳥」だった。
そしてとても流行っているらしく、入り口に数人並んでいた。
日頃並ぶのは嫌いな人間、行列ができてる店には絶対入らないのだけど、その時は懐かしかったので並んで入った。
雰囲気は前のビジネス街の一角にあった店とはずいぶん違ってて、いかにも繁華街・心斎橋の喫茶店という感じになっていた。
店も広くなってたけど、相変わらずほとんどは女性客だった。
そして雑誌「赤い鳥」もおかれてあった。
でも、前の小さな店の方が良かったなぁ~なんて思って、2度ほどいったきりだった。
その後行ってない。
でもあるときふと気になって、ネットで調べたら、心斎橋の店は20年ほど続いた後、2年前閉店したらしい。
それからそれを惜しんだ常連客の人が半年後に「赤い鳥」を別の場所で開店したらしい。
場所はもっとも古い大阪の町の雰囲気を残す空堀。
難波の宮跡や大阪城も近い。
カウンターだけの小さな店、でもビジネス街の土佐堀とはまったく違うけど、
庶民的な街の雰囲気は心斎橋よりも「赤い鳥」に似合ってるかもしれないな。
コメント
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