イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「風の盆恋歌」読了

2017年08月02日 | 2017読書
高橋治 「風の盆恋歌」読了

古本屋の100円均一の棚でこの本を見つけた。高橋治が亡くなったのはもう2年も前だ。ずっと昔、「秘伝」という小説を読んだことがあるきりだったが、お盆を前にして読んでみた。

ユーチューブの動画を見てみるとなんとも哀愁が漂う踊りだ。菅笠を深く被って踊るさまはそれぞれの人が秘めた思いを込めているように見える。まさに小説の内容そのものだ。あの人差し指の先には何があるというのだろうか・・・。
胡弓の音色が長い人生のひだみたいなものを余計に浮かび上がらせているようにも思える。

あらすじはこれから読もうと思うひとのために取っておくとして、主人公は僕とほぼ同い年、学生時代の同級生との不倫の物語というくらいまでは許してもたらいたい。

僕の学生時代は、太い、近眼、頭悪いという三拍子で片思いはあっても思われるようなことはみじんもなかった。しかし、50歳も半ばを迎えると色々な意味で恋をするなんていうことの最後のチャンスではあるのだろう。
遠い昔に恋い焦がれたひとと再び恋に落ちるなんていうことは多分、人生最大のしあわせではないだろうか。
しかしながら上記の件のおかげで僕にはとうていお鉢が回ってこないことなので余計にこの物語に愛着を覚えてしまう。もちろん、チャンスはあっても先立つものもないのも現実だが・・・。

ついこの前、船を持つということは不倫と同じだと偉そうに語ってみたが、やっぱり船は僕に語りかけてくれることもなく、触っても柔らかいわけではなく、不倫をするには生身のほうが絶対によいのだとヨレヨレの午前中を過ごしながら思うぼくの人生は一体なんだったんだろうかと悲しくなってしまうのだ。



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