イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「花終る闇」読了

2011年02月04日 | Weblog
開高健「花終る闇」読了
闇の三部作の最後の物語だ。「夏の闇」の「私」と同じと思しき作家が題名だけ決まった物語が書けずに“漂よい続ける”。
「夏の闇」では滅形から脱するためのきっかけを必死でもがきながら探す「私」がいたが、この物語ではもがくことさえできずにひたすら漂う「私」の姿が描かれる。たくさんの修羅場を回想しながらもやはりそのきっかけが見つからない。
「おれは生活を変えてみたくなったんだ。このままじゃ、立ったまま腐っていくような気がする。」というのはベトナムの最前線に赴こうとする時の回想シーンで語る言葉だ。
「私」も40歳を超えた年齢だが、40歳も半ばを超えている自分も「わたし」と同じように立ったまま腐りかけているようだ。朝、歯を磨いたあとで顔を洗い、鏡に映った自分の顔のなんと精気のないことか。それを自覚したくないから見てみないふりをする。僕にはもう、最前線に立つ気力は残っていないのだろうか。何かの引き金が引かれることはあるのだろうか。

この物語は未完で終っている。
「夏の闇」でひと夏をすごしたらしい、加奈子という女性と無人になった村で数日を過ごそうと言う提案をしたところで終っているが、きっと「私」はその村で、またはどこかできっと死んでしまうのだろうと思う。なぜか、そういう気がする。



三作を通して4人の女性が出てくる。
「輝ける闇」では「素蛾」。「夏の闇」では「女」、加奈子か。「花終る闇」では「フサ」と「弓子」。
ドラマになるならどんな女優さんだろうと想像してみたくなる。
素蛾は堀北真希、加奈子は菊地凛子、フサは仲里依紗、弓子は米倉涼子、こんな感じだろうか。僕の独断と偏見だが・・・。
しかし、相手の男性が黒ぶちのメガネをかけた小太りのオジさんでは・・・。
あまり作家のことは知らないほうがいいというが、それは本当らしい。
コメント
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