鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

不気味な騰勢を続ける商品相場

2006-04-14 | Weblog
 このところ原油をはじめとする商品相場が軒並み上昇している。なかには史上最高値をつけているものもあり、先行き不安を抱かせている。先進各国の景気回復で、有利な運用先を見つけようとオイルダラーなどが暗躍していることもあるが、基本的には急増する需要に追いつかない供給の需給のアンバランスがあり、仮にかつての中東戦争のような異変が勃発するようなことがあると、世界経済は混乱に陥りかねない状況ともなっている。
 商品相場急騰の口火を切ったのは原油。イラク戦争以来じりじり上昇してきた原油価格はこのところ1バーレル(158リットル)60-70ドル台と過去最高水準に居座っている。続いて金相場。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の6月先物で1オンス(28.35グラム)608.4ドルと1981年1月以来25年ぶりの高値をつけた。さらに銀も1オンス11ドル台と1983年以来の高値をつけた。
 ロンドン金属取引所(LME)でも銅先物相場で、3カ月物が1トン5985ドルと史上最高値を、亜鉛も1トン2900ドルを越す最高値を付け、ニッケルも高値を付けた。いずれもさらに高値をつけそうな不気味な騰勢が続いている。
 世界経済は長らく低成長とデフレに悩まされてきたが、ここへきて中国、インド、ブラジル、ロシアのいわゆるBRICSの成長に支えられ、反転して市長への道を辿りはじめている。それが市長を通りこして、一挙にインフレへの道を辿ろう、としているのではないか、と思わせるのが、これら商品相場の急騰だ。
 もともと原油にしろ、金、銀、銅、亜鉛など資源は地球上に無尽蔵にあるわけではない。中国を筆頭にアジアアフリカ諸国の経済が成長するに連れ、資源をますます多く消費するようになり、需給バランスがとれなくなってくるのは自明の理だ。こうした需給のウンバランスを見越して、欧米のヘッジファンドが商品相場になだれ込んでいるのと、オイルダラーに象徴される資源マネーも加わって、さらに投機
現象を招いている側面もある。
 こうなると、もうだれにも商品相場の急騰を止められなくなる。これが、いま起きている実態だろう。
 かつて石油危機が到来した前のことをいまでもよく覚えている。世界各国とも成長期にあったせいか、いまのように商品相場が上昇しだしていた。で、たまたま、新潟県のある大手プラスティック工場が火事で焼けて、プラスティック製品の供給が大幅にダウンし、プラスティック製品の価格が急上昇し、大騒ぎしたところ、中近東で第4次中東戦争が勃発し、石油禁輸で原油価格が一挙に4倍となり、石油危機となった。トイレットペーパー、やティッシュペーパーなど石油関連製品がスーパーの店頭から姿を消し、パニックとなった。1973年10月のことである。
 いまのムードは当時と似たところがある。となると、水の他にろくな資源を持っていない資源小国たる日本はなす術がない。靖国問題で八方手ふさがりの小泉首相は黙ってみているしかないだろう。郵政民営化など国内のどうでもいいようなことばかりに精力を注いできた小泉首相にはおよそ資源外交なんて考えはない。ここは一刻も早く退陣して、資源外交のできる政治家と代わってもらいたいものだ。 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする