鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

実力つけた?日本オペラ界

2006-04-10 | Weblog
 東京・初台の新国立劇場でオペラの写実主義といわれるヴェリズモ・オペラの代表作「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」を観賞した。当初2つのオペラだとは思わず、副題がついているものと思っていたら、全く異なる別の作品の上演であった。ただし、休憩をはさんでの公演で、舞台装置はほぼ共通のものを使っていた。最初の「カヴァレリア・ルスティカーナ」の主役のソプラノ、テノール歌手、それに「道化師」の主役のテノール歌手こそ本場のオペラ歌手を招いているが、あとはほとんど日本人でこなしており、日本人だけで本場のオペラを上演できる日も近くなってきたことを感じさせた。特に「道化師」の主役のソプラノ歌手を見事に歌いこなした大村博美は堂々たる演技、歌いっぷりで、満場の拍手を浴びていた。
 「カヴァレリア・ルスティカーナ」は夫の浮気に悩むヒロインが母親にその不実を訴えるが、とりあってもらえない。そこで、夫に直接浮気をやめるよう哀願するが、聞き入れてもらえない。思い余って、相手の夫に告げ口をすると、その夫が逆上して、夫の決闘を申し込み、殺してしまう悲劇。テノールのアルベルト・クビードはともかく、ヒロインのガブリエーレ・シュナウトはウェスト100センチはあろうかという立派すぎる体格で、それだけに声量はたっぷりあるが、どうも悲劇のヒロインという感じが出てこない。どうみても1.5流か2流のオペラ歌手といった感じがいただけなかった。
 「道化師」は劇団の座長の妻が村の若者と浮気をし、それを劇団員に見つけられ、座長にご注進する。怒り狂った座長は劇中劇のなかで、妻を問いつめ、助けに入った若者ともども殺してしまう、こちらも悲劇。このひろいん役が日本人の大村博美。パリ・オペラ・コミック座やシャンゼリゼ劇場などフランスを中心に海外で活躍しているというだけにその片鱗を十分に見せてくれた。
 あと、「カヴァレリア・ルスティカーナ」のローラ役を務めた山下牧子や「道化師」での河野克典など準主役クラスの日本人歌手もなkなkのもので、観客を楽しませてくれた。
 こうしたオペラ公演でいつも感じているのだが、全体の場を盛り上げるための群集シーンでは舞台のつくりから、群集の個々の動き、それにオペラなので合唱は段々うまくなってきている。ストーリーの展開からいって、こうした群集シーンはクライオマックスに至る重要な要素でもある。
 全体に日本のオペラ界のレベルが上がってきている、との印象を受けたが、単なるトーシローの遠吠えに過ぎないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする