鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

根拠ない米軍移転費負担

2006-04-25 | Weblog
 額賀福志郎防衛庁長官は米ワシントンでラムズフェルド国防長官と会談し、在沖縄海兵隊のグアム移転経費問題について総額102.7億ドルのうち59%を日本側で負担することで合意した。当初米側は75%の負担を要求してきたのに対し、日本側が押し返したことになるが、なぜ59%に落ち着いたのか根拠がいまひとつはっきりしない。灰色の政治決着となったことに米国に対しノーといえない小泉外交の限界がうかがえる。
 在日米軍の再編は米軍の世界的再編の一環として始まり、日本側は自衛隊と米軍の連携強化を図ることで協力し、一方で沖縄を中心に基地負担軽減を求め、在沖縄海兵隊8000人をグアムに移転することになった。核兵器の時代に海兵隊が駐留する意味はないことから当然の動きだが、日本政府は日本から言い出したことだから、応分の負担には応じる、と言明してきた。しかし、過去に海外の米国軍の費用を日本が負担した例はない、という。今回どんな形であれ、負担に応じることは今後の先例となり、毎回費用負担に応じることになりかねない。そうなれば、総額2兆円以上にのぼるのは確実、という。
 当初、移転経費総額1兆1900億円の75%の負担を求められた時には誰しも
驚いた。慢性的に貿易収支と財政収支の双子の赤字に悩む米国が国全体としては金満である日本に対して頭を下げて頼み込んでくるのならともかく、さも当然のように要求してくるその姿勢にカチンときた。しかもそれを唯々諾々と呑んでしまいそうな小泉政権はまるで惚れたレディの言うことならなんでも聞く金満オヤジといった感じで、小泉外交の対米盲従姿勢がはっきりうかがえた。
 そういった国民感情を感じたのか、急遽額賀長官が米国へ乗り込んで行って当初予定になかった日米防衛首脳会談を開き、59%負担で手をうったようだ。額賀長官は日本側は海兵隊に兵舎、学校、庁舎、教場や、家族住宅、電力・水道などのインフラ整備などを、米川は桟橋や陸揚げ施設など基地関連施設の整備を中心にそれぞれ負担することで積算した結果、日本側の負担は全体の59%になった、と説明しているようだが、なにか釈然としない。自民党内には「せいぜい半々の負担が限度」という声が強く、どうして他人の引越に過半の負担をしなければならないのか、理解に苦しむ。
 そもそも今回の移転が本当に日本側の要請で始まったのか、米側が世界の情勢を見て戦略的に決めたのかはっきりしない。日本各地にある米軍基地についてはいま方々でトラブルめいたものが起きている。その最中に国民の神経を逆なでするような灰色の政治決着をすることは小泉自民党の本性見えたり、といった感が深い。ここは一昨日の千葉7区衆院補選で上げ潮基調に乗る小沢民主党に政府の弱腰外交の実態を断固、国民の目にさらしてほしい。
 追記 翌26日になって在日米軍再編の担当者であるローレス米国防副次官が、在日米軍再編に伴う日本側の負担が計260億ドル(日本円約2兆9900億円)の巨額にのぼることを明らかにした。普天間飛行場移設経費など日本国内の再編・移転費が今後6ー7年で約200億ドルとなり、これに先日合意した米海兵隊グアム移転費の日本側負担60.9億ドルが加わる、という。日米地位協定で日本国内の再編・移転経費は全額日本側の負担と決まっている、ともいう。本当、米国にいいように決められ、やられている、という感じがある。これに対し、安倍晋三官房長官は「積算の違い」と言うだけにとどめているが、米側の言い分は全面的に認めている。なんたる弱腰、これでは小泉と変わらないではないか。首相後継者ナンバーワンの人気がなきますよ、安倍さん。 
コメント
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