とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

荒川三山・赤石岳登山 その3

2010-08-18 20:32:03 | 山登り
荒川小屋の朝食は4:30からだった。同行者のうち3名はテント泊したので、そちらの撤収を待って6:30頃一緒に出発する。


あたりは、ガスで覆われまったく視界がない。雨もポツポツ降っている。前日、ライチョウを見かけたが、ライチョウを見ると天候が悪化するという話は、やはり当っていた。天気予報でも、曇りか雨となっており、この日は天気の回復が望めなかった。それでも前に進むしかない。樹林帯の中を15分ほど進む。しばらくは、小雨が降っているものの風はないので体が暑くなってきた。さらに進むと植生が変わり岩場となってきた。このあたりから風がやけに強くなってきた。樹林帯の中の状況とは打って変わり、しだいに強風の中を進むようになった。前に進めば進むほど、風が強くなり真っ直ぐ立っていられなくなってくる。この先高度が上がり、尾根伝いの道になるはずなので、このまま進んでいいのか非常に悩む状況になる。とりあえず、大聖寺平まで進んだ。だが、まったく風がやむ様子はない。昨年のトムラウシ山の低体温症による遭難事故が頭をよぎった。強風で体も冷えてきており、みんなで相談した結果、荒川小屋まで戻ることにした。最悪なら一日日程を延ばして荒川小屋に連泊することも考えた。まずは、荒川小屋に無事帰還する。小屋番に戻ってきた話をすると、大聖寺平あたりが一番風が強いところで、その先は山の東を回る道になるので、西風が遮られ比較的風は少なくなるという話だった。先にその話を聞いていれば、そのまま進めたのにとも思ったが、この時点では仕方がない。

まずは、荒川小屋で暖かいコーヒーを飲んで体を温めた。また、お腹も減ってきたので食事をして腹ごしらえをした。そのうち赤石岳方面から下ってきた登山者も増えてきて、尾根の風の状況を聞いてみることができた。相変わらず風は強いようだが、無事下山してきたようなので、我々も再度同じ道を進むことにした。30分ほどで再び大聖寺平に到着する。最初よりは、幾分風は収まってきていた。風で体がふらつくほどではなかったので、そのまま稜線を進んだ。

晴れていれば、みごとな展望が臨める場所のはずだが、まったく視界は利かない。



(お花畑の周りは真っ白、ガスで視界も利かない)

風がない岩場の陰で休憩する。少しひとごこちがついて花を観賞する余裕が出来た。

(チングルマの花が終わり、実の周りには水滴がついている)


(ミヤマダイコンソウ)

一頑張りして、小赤石岳(3081m)に到着する。


さらに15分ほど進むと、赤石岳と赤石小屋との分岐に出る。天気が悪く、このまま赤石岳へ行くと時間が遅くなるし、我々夫婦は昨年登っているのでパスすることにした。男性一人だけは行ったことがないので、もう一名の男性と一緒に空身で山頂往復することになった。二人は健脚で山の経験も充分あり、あとは任せることにする。女性を含む我々3名は、先に赤石小屋へと向かった。

赤石岳分岐からは約2時間かけて、赤石小屋に到着する。後続の二人も程なく小屋に到着する。当初の予定よりも2時間ほど遅くなったが、まだ午後4時前だった。赤石小屋は、去年も宿泊した懐かしい山小屋だ。ここも荒川小屋同様きれいな小屋である。また、宿泊者もそれほど多くなく余裕の宿泊状況だった。荷物をおろし、雨具を干して衣服を着替えるとサッパリした。こんな時は、ほんとうに山小屋の存在はありがたい。

談話室では、ビールを飲みながら他の登山者達と山談義に話が弾む。山小屋でのこんな触れ合いは本当に楽しい一時だ。込んだ時の山小屋の夜は寝苦しいこともあってテント泊を好む人もいるが、知らない人との話が弾む山小屋の夜はいいものだ。そして、夕食の時間になって食堂に入ると、小屋番のお兄ちゃんが声をかけてきた。「お客さん、昨年も来られた方ですよね?」と、突然声をかけられてビックリ。こちらも、お兄ちゃんの顔を見ると何だか見覚えのある顔だった。何故か、われわれ夫婦のことを良く覚えてくれていたようだ。大勢の客がいた中で、1年前とはいえ、良く覚えてくれていたことに感激した。夕食後も、食堂で屋久島の「三岳」を飲みながら小屋番のお兄ちゃんや仲間との会話が弾んだ。この日の展望はまったくダメだったが、ステキな人との出会いに恵まれた一日だった。

その4に続く。