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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

モノじゃない、人は幸せな体験を求めているのだ

2015-07-21 23:45:18 | Weblog

 今日の日経新聞の記事に、身に着けて撮影する「アクションカメラ」というジャンルを開拓したGopro(ゴープロ)の記事が載っていました。

 このゴープロ、ごく小型のカメラで自分のヘルメットや自転車などに装着して自分が見ているままを撮影できるというもの。

 今ではアウトドアを楽しむ人たちの支持を得て、指名買いをされるブランドになりました。そのビジネスポイントはこれをyoutubeなどのネットに配信して多くの人に見てもらえるという仕組みづくりにあります。

 そもそもこのカメラが欲しいというニーズは、サーファーが「サーフィンをしている自分の姿を格好良く撮りたい」という発想から生まれたもので、この製品にスキーやバイクなどあらゆるスポーツ愛好家が飛びついたのでした。

 カメラ単体としてみた場合は、手振れ防止機能もないしズーム機能もありません。しかし、撮影者が自分で撮った自慢の映像をネットにアップして多くの人に見せることができるようになった時代にマッチして、多くの共感を得たのでした。

 創業者兼CEOのニコラス・ウッドマン氏へのインタビュー記事も掲載されていました。

 この中で彼は、「競争相手としてソニーやパナソニックをどう見ていますか」という問いに、「ソニーもパナソニックも尊敬しているがビジネスモデルが違う」と断言しています。

「彼らはハードを売っているだけだが、われわれは撮影した動画を編集し、共有して楽しむソフトやサービスも一体として提供している」

「我々は製造業というよりコンテンツ産業に身を置いていると考えている。ハードウェアは大事だが、あくまでコンテンツを生み出す過程の入り口にすぎない」

 そして彼はこう言います。

「ゴープロの顧客はカメラという『モノ』ではなく、この製品を使うことですばらしい作品が作れるという『体験』に対してお金を払っている。この違いをソニーやパナソニックは必ずしも理解していない」

 モノがある程度満たされて、物を持つ喜びが薄れてゆく中真に幸せに近づけるものとは何かと考えたときに、幸せとはモノではなくコトなのだ、という言い尽くされた本質に、このCEOはしっかりと気づき、人々の満足と幸せを満たすシステムを構築しています。

 人がお金を使う値のあるコトとはこういうことだ、という成功事例の一つです。

 
 私も釣りをしながら、魚がヒットする瞬間を映像として納めたいと思いますし、それを可能にするのがこの道具だと思うととても魅力的に思います。

 モノが満たされた日本でのこれからの新のビジネスモデルを考えてはどうでしょう。

 人の幸せとは何かを考え、それをどうやったら実現できるかを考えましょう。

 幸せの経済をまわしましょう。

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東京の25℃と稚内の25℃は違うったら違う…と思う

2015-07-20 22:34:57 | Weblog

 快晴の稚内。今日は気温が24℃まで上がって、とても暑い一日となりました。

 たかが24℃くらいで、と笑うなかれ。稚内で暮らしていると20℃でもう暑くてたまらなくなり、25℃だとじりじり焼けるような気がします。釧路にいた時も、25℃になると札幌での30℃くらいに感じたことを思い出します。

 これは単なる体の慣れとはちょっと違っていてなんだか不思議な感じ。その土地が持つ気温の体感に違いがあるのです。

 暑さとは逆に、北海道でマイナス10℃の寒さの辛さって、東京だったらマイナス5℃くらいで感じる辛さと同じくらいのように思います。

 稚内の24℃でふうふう言っている私ですが、大阪へ転勤になって連日35℃を経験しても、多分一週間で慣れて同じくらいの辛さでいるような気がするのです。
 
 気温と体感の関係で言うと「不快指数」とか「体感温度」というものがありますが、「不快指数」は人間が生活するうえで不快を感じるような体感を,気温と湿度で表した指数で、これに風速などを加えた「体感温度」などもありますが、これともちょっと違う。

 科学的アプローチとしてはあくまでも物理的な気温、湿度、風速などの計測できるものの組み合わせでの感覚を掴もうとしますが、この感覚自体が北と南で違うというような研究ってないものでしょうか。
 

 北から南まで転勤の多い人だったら多分感じているんじゃないかなあと思うのですが、転勤族の皆さん、いかがですか。

  

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次世代の海は君の背中に

2015-07-19 20:00:33 | Weblog

 海の日関連の三連休、稚内では各種イベントが一気に開かれました。

 今日の稚内は快晴で気温も上がって絶好の行楽日和。稚内海上保安部からは巡視船「れぶん」への体験航海の案内が来て、湾内一周のクルーズをしてきました。

 巡視船れぶんは平成26年1月に就役したばかりの新造船で、様々な新しい機能がついています。れぶんはスクリューが二つ付いていて、プロペラの角度でスピードや前後進の進み方を調整するのだそうです。

 舵も、大きな輪をイメージしていたのですが今では自動車よりも小さなハンドルが一つあるだけ。技術も進んでいるのですね。

 さらにレーダーでは近場の船の航行軌跡を記録する機能があって、夜間にライトもつけずに変な動き方をするような船も捕捉ができるとのこと。

 尖閣諸島対応では出動割り当てがあって近々再び尖閣に赴くとのことで、実にご苦労様です。航海の無事をお祈りします。


       ◆ 


 れぶんが停泊する埠頭近くにある北防波堤ドームでは、今日は「第13回稚内みなとコンサート」が開かれました。

 昭和11年に完成して、今年79歳になる北防波堤ドームは稚内独特の北東からの風を避けて船に乗るための工夫の結果の美しいフォルム。

 400メートルにわたって70本の円柱が半円形の壁を支えるこの防波堤ドームは北海道遺産にも認定されています。

 ここから樺太の大泊までの間を結んだ稚泊航路は大正12年から昭和20年までの22年間開設されていましたが、戦争終結と共にそれも終わりましたが、昔はこの防波堤ドームに隣接して「稚内桟橋駅」という駅舎があり、そこから船へと乗り移ることができました。

 今は不思議なフォルムとして残るこの防波堤ドームの中で行われたコンサートでは、ちびっこから大人まで様々な出演者がパフォーマンスや演奏で来場者を楽しませました。

 
       ◆  


 れぶんの体験航海には多くのちびっこたちが招待されて乗り込んでいました。

 航海を楽しんでいるちびっこたち、次の世代の海を守るのは君なのかもしれませんね。

 

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腰を痛めても川歩きは涼し

2015-07-18 23:46:19 | Weblog

 二週間前に、妻とヤマベ釣りに行きました。

 それなりに連れて楽しかったのですが、釣りを終えて帰ろうとした瞬間に「あ゛っ!」
 腰に強烈な痛みが走りました。

 釣りに没頭していた時は気付かなかったのですが、前に重心をかける無理な姿勢で長い間釣り続けていたようで、疲労性の腰痛になっていたのでした。

 釣りの最中って、ずっと釣れるかどうかという興奮状態が続きアドレナリンが出続けているので、いろいろな感覚が一切な麻痺してしまいます。

 釣りの先輩からは、「だから脱水症状に気を付けて、定期的に水を飲むように」と教わったくらいで、喉が渇くとか腹が減ったとかトイレに行きたいという生理的な要求がまったく頭に浮かばなくなるのが怖いところ。

 二週間たってまだ痛みは残っているもののなんとか動けるようになったので、今日は浜頓別から中頓別にかけての川のうち行ったことのない川を中心に釣りをしてきました。

 今日の宗谷地方は天気も良く気温も上がりかつ風もなかったので条件としては申し分なかったのですが、行く川はことごとく魚が出てくれません。

 今日は川霧が出て幻想的な川の中を歩きました。全く出ないということでもないわけではありませんが魚影は薄く、まあこういう日もあるものか、と。

 最高気温は20℃で、川のせせらぎと鳥の声を聞きながらの川歩き。気温36℃ってどこの世界のことやら。苦しんでいないで道北へ避暑に来てはいかがですか。

 
       ◆ 


 帰り際に猿払村で猿払観光祭りを見て、屋台でお腹を満たして気ました。

 明日は天気も良くてこれまでの最高来場者になりそう、というのは猿払武役場の観光担当の職員の方。

 短い夏をイベントで楽しみましょう。

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そうだ、サハリンへ行こう

2015-07-17 23:41:07 | Weblog

 サハリンに行って来ようと思います。

 せっかく稚内にいて、コルサコフとの間で定期航路があり他の地域に比べると格段に島に渡りやすい環境にあることに加えて、仕事の上でもサハリンとの交流の重要性を感じているところなので、まずは一度は行ってみたいと思っていたのです。

 いろいろ考えましたが9月上旬のツアーがあったのでまずはこれに申込み、現地での動きはこれからいろいろな方と相談をして決めることにします。


       ◆

 
 実はサハリンは私の父方の祖父が一度渡ったことがある因縁の島。

 祖父は昭和の初期には夕張で炭鉱夫相手の和菓子屋を営んでいました。しかし石炭産業の将来に明るさが感じられずにいたようです。

 祖父は昭和の7年に視察旅行で樺太の敷香を訪れた際に、そこに明るい将来性を見出し、その旅の中で移る先の物件を決め、夕張に戻ると店を弟子に譲って一家をあげて敷香へ移り住みました。

 ところが現地の冬はそれは厳しい寒さ。伯父のところに当時祖母が親類あてに書いた手紙が残っていて、そこには「夜に寝ていると寒さで木が割れる音が聞こえる」と書かれていました。木が内部の水分の膨張で割れるほどの厳冬だったのです。

 昭和八年はわが家系にとって悪夢の一年でした。

 その年が明けてすぐに父の妹が亡くなり、春には祖母が亡くなりました。それですっかり元気を失った祖父が秋に亡くなり、なんと一年で家から三つのお葬式を出すことになりました。

 身寄りを無くした父とその兄弟は親類に身を寄せるために船で再び北海道へ戻ってきました。

 当時父は三歳。「その時は何が起こっがのかもわからず、人が多くて賑やかな船の中でチャンバラごっこをしていたことを覚えている」と父は言っていました。

 父の兄弟はそれぞれ違う親類に引き取られて離れ離れに暮らすことになりました。これがわずか一世代前の出来事です。

 戦争もありましたが、その後のその時代の人たちの頑張りのおかげで私の世代では温かい家庭の中で飢えに苦しむこともありませんでした。

 そんな幼かった父の運命を変えたのが樺太であり敷香でした。今回の旅では敷香までは足が伸びませんが、まずは一番近い外国としてのサハリン、ユジノサハリンスクあたりを見てこようと思います。

 できれば現地にいる日本の方と食事などして現地の情報を入手したいなとも思っているところ。

 パスポートも取れてツアーに申し込みをしたところです。ちょっと見聞を広めてきます。

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こう天気が悪くては

2015-07-16 22:01:43 | Weblog

 昨日、市内名士のあつまる会合で目の前に某スーパーの社長さんがいらしたので、「こう天気が悪くて気温が低いと売れ筋のものが変わるのではありませんか」と訊いてみました。

 すると「そうなんです!」と言って、「まず焼肉がだめ。関連してビールはお酒類も売れません」とのこと。

 この時期、稚内市民は暖かくなれば焼肉、バーベキューで楽しむ人が多いのですが、そういう人たちが全く動かず、本来この季節に売れるものが売れていないのだそう。

 利尻島では昆布漁にも影響が出ています。

 この時期、晴れの日が続いてくれないと昆布を採っても干せないので漁師さんたちは困ってしまいます。

 利尻島の左半分の利尻町の漁民は、島の右側の利尻富士町で浜近くに昆布干場のための土地を借りて、わざわざ干しに来るのだそう。

「利尻富士町側は天気が良いのですか」
「そう。利尻町側は天気が悪くても山で雨が落ちるので東側は天気が良いということがよくあるんです。だから利尻町の漁民は両方の町で干場が使えるようにしているんですよ」

 天気が悪いと昆布も採れません。地場産業の行方が気になります。

 

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より良い社会のための企業連携

2015-07-15 23:31:55 | Weblog

 北海道コカ・コーラボトリング(株)さんと当稚内開発建設部との間で「宗谷管内の国道における、道路以上の情報共有および道路緊急ダイヤルの啓発活動に関する共同事業の協定」を締結しました。

 北海道コカ社さんは、これまでも企業CSRに大変熱心で、既に2006年に我々の親元である北海道開発局との間で、道路利用者への新たな情報提供の協働を試行する包括協定を締結しています。

 今回はそうした活動の一環で、道路異常の情報共有と道路緊急ダイヤル(#9910)の啓発活動で新しい協力をしあいましょう、ということになったもの。

 具体的な活動としては、コカ社さんのドリンク配送車に道路緊急ダイヤル啓発ステッカーを貼っていただくことで、これによりこれを見た多くのドライバーの方から道路の異常をしらせてもらう機会が増えることが期待できます。

 #9910は高速道路でも国道でも道道でも、陥没だとか荷物が落ちているなどの道路の異常があった場合、ここに電話をすれば受けたところがそれぞれの道路管理者に情報を振り分けて連絡をする体制が取られているサービスへのアクセス番号です。

 皆さんもぜひ覚えておいていただいて、道路の異常情報を教えてくださいね。


       ◆ 

 
 実はこうした締結式を終えた開発建設部は全道に十の開建があるなか、稚内で七つ目とのこと。

 協定締結式に来てくださった北海道コカ社の福井部長さんにお礼を言うと、「物流事業者としては道路にはお世話になっていますので」と謙遜されていますが、他にも物流事業者さんは多い中で、こうした協定を結んでいただけるのは実にありがたいことです。

 北海道コカ社さんは、ジョージア・サントスという缶コーヒーに、道内の風景をあしらったものを販売していて、これが売れると一本につき1円を、その風景を守っている団体に対して寄付するというCSR活動を続けられています。

 良い風景が経済的なメリットを生むためにはどうしたらよいか、といつも悩んでいますが、こうした企業との連携は一つの好事例と言えるのではないでしょうか。

 連携してくださる企業さま、大歓迎です。

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猿払村の新商品「ホタコロ」

2015-07-14 20:37:08 | Weblog

 猿払村役場の方が訪ねてきて、村の新しい特産品を置いて行ってくれました。

 商品名は「ホタコロ」で、その正体はホタテのエキスを使った割けるチーズです。

 猿払村と言えばホタテで有名ですが酪農だって盛んなところ。この海の産物と牧場の産物によるコラボ商品がこのホタコロです。

 パッケージは高級チョコレートの様な洒落たデザインで、特徴は地元産の牛乳にやはり地元のホタテのエキスを使って味付け。

 開発に当たった課長さんによると、「ホタテ味に近づけるための塩加減が難しかった」とのこと。

 実際に食べてみると、ストリングチーズの割け具合がホタテの貝柱の割け方に似ていて、味もホタテの風味がして面白い。何と言っても、ホタテの村と思われている猿払での牧場とのコラボ商品というところが面白い。

 難点は手作りのために量産が効かず、まだ試験製造中とのこと。一部は札幌の大丸デパートでも試験販売をしてみるそうなので、見かけたら手に取ってみてください。

 絶対的な強みのあるホタテから始まって、スピンオフ商品が出るというのが良いではありませんか。

 ワインやウィスキーのお供にどうぞ。

 

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「まちづくりは人だ」の真の意味

2015-07-13 23:53:13 | Weblog

 石破大臣の地方創生講演を聴いて、今なお地方の自治体やまちがなすべきことを考えています。

 石破大臣は「学ぶべき素晴らしい事例」として、「ローマ法王に米を食べさせた男」という本を紹介されました。

 これは羽咋市に実際に勤務するスーパー公務員の方が、地元の米を売り出すための宣伝文句として、ローマ法王に地元の米を食べさせたという実話で、これが今度TBS系の日曜劇場で『ナポレオンの村』として放送されるのだそうです。

『ナポレオン』というのは、「我が辞書に不可能の文字はない」からもじったものだとのこと。まちづくりにも不可能なんかないのだから知恵と行動力で地元を売り込んだらどうか、というアドバイスです。

 世の中を見ていると実に多くのまちづくり事例があって、どれも成功している間はもてはやされるのですが、いつの間にか話題にならなくなってしまうことが多すぎると思いませんか。

 これは、自治体の首長が変わってしまったり担当者が昇進して担当から外れたりして、まちづくりの思想が伝わらないからだと思います。

 「まちづくり、地域づくりは人だ」と言われますが、それは誰か優れた人材という意味もあるけれど、継続的に思想を注入してくれる『継続的な監督』という意味でもあるのだと思います。アイディアを出す人やさらには継続的にその面倒を見てくれる人、そしてさらにはいなくなっても思想が残るほどの影響力を与えてくれる人なのです。

 そしてその典型的な好事例を私は二宮尊徳に見出します。

 彼は神道・儒教・仏教が融合した独自の報徳思想を掲げて、江戸時代末期の飢饉に苦しむ北関東の村々を救済して歩きました。彼の思想に共鳴し心酔した弟子も同じ思想によってそれぞれ請われるままに村々を救済して歩きました。

 今火山活動に悩まされている箱根も、尊徳の高弟の一人で「二宮翁夜話」を記した福住正兄が地域づくりを行ったことで知られています。

 二宮尊徳のまちづくり思想は報徳思想として、心ある村々を救いました。二宮尊徳が亡くなった後も、その思想は人を介して生きつづけ、それを学ぶ者たちは教えを実践することによって地域づくりに成功しているのです。

 傑出したリーダーがいつまでも地域の面倒を見るのではなく、人々の内なる心の中にふつふつとより良い暮らしへのモチベーションを沸かせることに成功している優れた事例ではありませんか。

 我々は今日改めて二宮尊徳のリーダー像を学び身近な成功事例を学んでみてはいかがでしょうか。

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地方創生には橋渡しができる人材を

2015-07-12 23:46:03 | Weblog

 昨日の石破茂地方創生大臣の稚内での講演。

 パネルディスカッションでは地元の6人のパネラーの皆さんが地域を紹介する場面があり、私の知らない稚内や宗谷地域の情報を知ることができました。

 例えば棒たらが関西ではおせち料理に使われるほど愛されているとは知りませんでした。調べてみると、「棒たら=たらふく(鱈福)食べられる」という意味があるそうで、こういう伝統や文化を頼りにする産物は、ただ美味しいことや安全であることに加えて非常に意味があると思います。

 こういう縁や縁起を作り出したり歴史から引っ張り出すということもマーケティング上のコツなんでしょうね。


       ◆

 二次会は数十名ほどが石破大臣を囲む食事会。会場には今日のパネルディスカッションに参加した人たちの中央テーブルが据えられたほか、十人程度の丸テーブルが五つ並べられていました。

 上手だと思ったのは、各テーブルに空いた椅子が一つずつ置かれていたことです。大臣が真ん中から動かずに、出席者が大臣の周りを無秩序にまとわりつくということではなくて、石破大臣が各テーブルを回るのでその際にその椅子に座るという設定でした。

 イスとテーブルの懇親会などでは、参加者と同数の椅子にされると場が馴染んできたころに他のテーブルを回ろうと思っても誰かの椅子を追い出さないといけないのですが、このように余裕の椅子を置くというのはよいですね。

 大臣も各テーブルを回ってさらに精力的に意見交換をされました。


 私の座ったテーブルには、利尻礼文の離島の三人の町長さんがおられました。大臣が来られて話をする中で、実は利尻島には石破大臣の出身である鳥取県からの先祖がきていて、「麒麟獅子」という鳥取の伝統芸能が今に伝えられています。

 その話をすると大臣は身を乗り出して熱心に聞いていて、「まだ利尻礼文へは行ったことがないので行きたいけれど、呼んでくれないと行けないんですよ」とちょっと苦しそう。

 大臣が別のテーブルに移ってからはもっぱら利尻島でどうやって大臣を呼ぼうか、ということが話題になったのですが、すると礼文町の小野町長が「利尻島は石破大臣を呼ぶネタがあるけれど礼文島にも来て欲しいね」というので、「それはやはり国境離島としての日本の端を地方創生大臣としてだけでなく、元防衛大臣としても見ていただきたい、とお願いするのが良いのじゃないでしょうか」
「そうか、そういう切り口がありましたか。いいねえ」

 
 島の三人の町長が盛り上がったところで豊富町の工藤町長が、「島はいいけれど豊富にも来てもらいたいところですがね」と割って入りました。

 すると島の一人の町長が、「豊富町は冬は"陸の孤島"になるんだ、ってのはどうだろう。全部島だわね」と言って一同大爆笑。洒落にしても良くできていました。


       ◆ 


 それぞれのマチの個性を出して、やはり一人でも多くの中央のオピニオンリーダーには地方を見てもらいたいものです。

 豊富町では、ふるさと納税の額が約一億円にもなるそうです。一万円納税してくれた方には五千円相当の地域の産物を送ることにしているので、実質のあがりは五千万円ですが、送られる産物を通じて地域経済にも大きく寄与しています。

 工藤町長さんは、「なかには『アトピーを治していただいたのでお礼の意味も込めて送ります』とか『豊富でアトピーが治った友人から言われて送ります』というような方が結構いるんです」とおっしゃいます。

「税金を五千万円も企業活動から集めようと思うと、とっても無理ですから、こういうファンがいてくださるのは実にありがたいです」とも。

 
 こういう面白い情報がもっと発信できれば良いのに、と思います。

 地域が一番がんばらないといけないのは、何を発信するかだけではなく、外の人がどう感じるかを計算することで、そういう意味でちょっとだけ外の視点をもっていることなのではないか、と思います。

 大臣は「地域のことは地域の人しかわからないのだから、地域が頑張ってほしい」とおっしゃいましたが、地域の中の人だけではやっぱり限界があるのです。

 地域の理解とシンパシーを持ったうえで、大都市や中央とのパイプや人脈を有し、情報やビジネスの橋渡しをするような質の高い仲介者が必要です。

 私はそれが霞が関から送り込まれてくる中央官僚だけでは不足で、それに加えて役所の組織には入らない民間ベースの橋渡し役を見つけ出すべきだと思います。役所の中に入ってしまうと、行動や議会など様々な制約が出てしまうので、それらから離れて行動できる自由度が必要だと思うからです。

 そういう形の地域アドバイザーにも交付税が割り当てられるような制度があると地域が頼りにできる人を雇い入れることもできそうだと思います。

 地域と外との関係性。これこそが大事だと思うのです。

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